10話 ページ12
今日の宅飲みはAの家でだった
約束の時間に行くと、既に酒を飲み始めていたんだろう
ほんのり顔を赤くしたAが出迎えてくれた
あ「いらっしゃい」
可愛い
笑顔で迎え入れてくれる所も、表情も、何もかもが愛しい
この数ヶ月、Aと距離を縮めようと出掛けたり、ついにはお互いの家に行き来する仲にまでなった
それでも、Aが俺を恋愛対象として意識する事はなく……
でも、誰かに取られるなら友達でもいいから一番近くにいたいと思った
なのに……
あ「キス……しちゃった」
酔いきったAに事故で床ドンされた挙句、キスまでされた
泥酔するとキス魔になるのか……？
色んな思考が働くが、どう考えても俺への好意という可能性は考えられなかった
ここまで本気で好きになった女なんて初めてだからなのか
いつもの自信満々の俺はどこかへ行ってしまったらしい
爆豪「バカが……もう寝るぞ」
今までの飲み会でも我慢してきたんだ……
泥酔してる惚れてる奴を襲うほど俺も落ちぶれちゃいねぇし
何より……
ここで襲ってしまえばもう純粋な恋愛に戻れない
俺はAを抱きしめながら起き上がり、お姫様抱っこしてベッドまで運んだ
ベッドに慎重に置いて、布団をかけて離れようとすると
あ「やだ……行かないで」
俺の手を細い指で掴むA
爆豪「っ」
あ「一緒に寝よ？」
あーくそっ
俺は深呼吸を少ししてから、Aのベッドに入った
俺より小さくて華奢な体、近すぎる距離、酔いで浅くなっている呼吸
全てが俺の動悸を早くする
オマケに温かさを求めてか俺に擦り寄ってくる
爆豪「クッソ……」
生き地獄か……
でも……
Aがここまで俺に心を開いてくれてるってことだと思うと、少し嬉しくなった
俺はAを抱きしめて、眠りについた
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作者名：空
| 作成日時：2022年11月22日 6時
