第156話 絆の証 ページ36
〜･〜･〜
工場へと向かう道の途中で、土蜘蛛や大ガマにキュウビ
そしてケータ達と、無事に遭遇することが出来た。
もちろん土蜘蛛達は怪魔の討伐にあたっていたのだが、
彼らが分かれる事になった後、ケータ達は再びウバウネと鉢合わせになってしまい
怪魔に浸食された未来へと飛ばされていたらしい。
これも、うんがい三面鏡のおかげですぐに戻って来られたから良かったが。
「──クソッ、開かねぇ! 門に鍵がかかってやがる……!!」
町に通っている線路の先で、閉ざされた門に行く先を阻まれていた
ケイゾウが、苛立ったように声を放った。
彼らは丁度そこへ駆けつけて、真っ先にケータが彼へと声をかける。
「本当に、ここにウバウネが居るの?」
「ああ、手下のキンとギンがここに入って行くのを見たからな!」
「では、他の仲間の妖怪達も呼ぼう。そして一緒に……」
「ガッツ仮面は誰の力も借りねぇ! 俺は先に行くぜ!」
ケータの問いに、ケイゾウは大きく頷いて返した。
だがフユニャンのこの声には、頑なに拒む意思を全面に押し出して
脇にあった低い壁を登って、駆け出して行ってしまう。
「一人で行っちゃったニャン……」
「でも、ここはウバウネのアジトですよ。一人で行くのは流石に危険なんじゃ……」
いつ、どこから怪魔が襲ってくるか知れたものではない。
不安気な表情で目を合わせるジバニャンとウィスパーだが、
フユニャンも悲しげに顔を歪ませるばかりで
堪えるようにして首を振ってから、ケータ達に先を促した。
「……仕方ない。俺達も行くとしよう」
今すぐに急いで追いかければ、工場にたどり着く前に追いつける筈だ。
あくまでも友達の存在を認めないケイゾウには、ケータも困ったように
眉を寄せて──その時、何かを思い出したように小さく声を会えた。
「…………あっ、そうだ。フユニャン。
これ返しておくね──はい、牛乳瓶の蓋。大事な物なんでしょ?」
「……ああ、アイツ等との絆だからな……ケータ、ありがとう!」
ケータが、自らのポケットから出して手渡した物を見て
繰り返し頷いてそれを受け取ったフユニャンは、小さく笑って礼を言う。
また、その牛乳瓶の蓋を大切そうに懐に仕舞うと、気を取り直して脇道を見上げた。
「よし……先を急ごう!」
〜･〜･〜
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：フェイル | 作成日時：2015年8月1日 0時
