【妖怪ウォッチ2】消え行く正しさを直す旅。【part4】 (ページ32)

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第152話　視界の端ページ32

『私の、正義──』

『……どうだ、やってみるか?』

自らの片手に視線を落としていたAは
その手を強く握りしめながら顔を上げ、しっかりと頷いて見せる。

──まだ、あの脅威に立ち向かうことが出来るという。
未だに信じられない心地だったが……迷う理由など、あるものかと。

『──では、心せよ。生とは、己が内に秘める魂の修行なり。
その道で得るもの無くば、死後の魂は浄化されざるものと化す事を』

そう言うと、エンマ大王は力を放つために意識を集中させた。

Aもまた、自らが徐々に変化していくのを感じ取っては
ゆっくりと目を伏せ……静かな時が巡っていたが──

『あーあ、困るんだよね～。そういう例外的なことされるとさ～』

『『…………!?』』

閉ざされていた両者の目が、驚きに見開かれた。

突如、割り込むようにして入って来た声は頭上から
聞こえてきたようで、見上げると目に痛いほどの光が入り込む。

……やはり、白い霧のせいで向こうの姿は見えなかった。

『く……その声、お前、____!! 何をするつもりだ……!』

『……ホントに君は、悪運が強いね～……』

混乱したAが、声を放とうと口を開こうとしたが
その瞬間、彼女の中で何かがプツリと途切れる。

それに対して緊張を覚えたものの、彼女の意思に反して
意識は呆気ないように失われて行き、視界が暗くなっていく。

──そうして完全に目を閉ざし切る直前に
Aの視界が、白の中の小さな“影色”をしっかりと捉えていた。

～･～･～

『…………!!』

我に返って、ハッと視界を開けさせると
既に、辺りには彼女にとってよく見慣れた景色が広がっていた。

さくらニュータウンのある一角。……彼女が命を落とした場所。

そして──今、目を開けた彼女の丁度目の前に
地面に突き刺さっている、一つの剣がある。

『(……これは……?)』

更に、視界にちらちらと映る地面に溜まった水溜まりを見て
本当に自分が妖怪として、姿を変えていることを知った。

桜色の髪、深緑の目……彼女は人間だった時とさほど変わらず
妖怪になっても人の形をしていたが、そこだけは唯一の違いだった。

しかし……彼女が命を落としたあの時、雨や雪など降っていただろうか?

それに、他に変わっている所は──と自らの姿を見下ろし
両二の腕の紺色の文様以外には何も変わっていないのを確認する。