第123話 花道商店街 ページ3
「いや……最近マスターニャーダは桜町に姿を現しているらしいんだ」
「おおっ! それは素晴らしい!!」
……こちらに運が向いていたと思って良いのか、単なる御都合主義なのか。
寧ろ、マスターニャーダが桜町に姿を現しているという噂があったからこそ
それを聞いていたフユニャンも彼の存在を思い出したのかもしれないが。
彼の話を聞いたウィスパーが大きく頷くと、話がまとまったようだ。
「では、二手に分かれて探そう。俺とケイゾウは花道商店街へ行く」
「……仕方ねーな。付き合ってやるよ」
そうしなければいけないのなら、やるしかないか。
肩を竦めたケイゾウはフユニャンに言われて、溜息交じりに応えた。
「それと……Aも、良ければ一緒に行かないか?
折角過去へ来たのに、君はこの桜町を十分に回れて居ないだろう?」
「え? ……そうでもないと思うけど……」
次にフユニャンから視線を向けられたのはAだったが、妖怪ウォッチの
部品を集める途中で、全く町中を回らなかったという訳ではなかった。
……それは、コマさんの手紙を拾いに行くのに少し見た程度ではあるものの。
ただ、彼の言葉を否定しかけた彼女は途中で何かを言うのを止めていた。
というのも、自らを見る彼の目が懇願するかのようなものに見えた為だ。
「──ああ、わかった。そうさせてもらうよ」
どのような意図があったのかはわからなかったが、少なくとも彼の目つきから
何かがあると感じ取ったAもまた、ついには仕方なく笑って頷いていた。
兎にも角にも、まずはマスターニャーダの捜索開始だ。
〜･〜･〜
ケータ達は、どうやら人通りの多い駅前の方で捜索をする事に決めたようだ。
別行動を始めて、早速商店街へやってきたAは
何気なく立ち並ぶ店を眺めながら歩き続ける。
ケイゾウにとってはそれらは見慣れた光景で、全く興味を示さなかったが。
「桜町に居るっても、どう探せば良いんだか。人間に見える筈ねーしなあ……ん?」
頭の後ろで両手を組みながら歩いていたケイゾウの目が、不意に何かに止まった。
辺りをきょろきょろと見渡していたAも、
その小さな声で彼の方へと視線を止める。
「──うおお! ガッツ仮面だ!!」
次の瞬間には、何かに向かって猛ダッシュで駆けつけて行った。
彼の足先にある物を視線で追うと、そこには店に陳列されている白黒テレビ。
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作者名：フェイル | 作成日時：2015年8月1日 0時
