第69話 えんらえんら ページ29
「あったり〜♪」
男性作業員が気怠げだったのも、
えんらえんらの煙に影響されてしまったせいなのだという。
驚くケータとウィスパーに、小さく笑うえんらえんら。
「ケータ君! えんらえんらを止めましょう!」
「うん!」
「ウフフフ……煙に巻いてア･ゲ･ル♪」
ここで戦闘か、と身構えたケータ達だったが
笑みを崩さない相手は、そう言い残して姿を消してしまった。
ただ、煙は鉄工所の中に充満したままなのだから
この中のどこかに隠れてしまったのだろう。
「どこに居るのか、探さなきゃ……!」
「しかし、ケータ。ずっとこのままでは君も──皆も危険だ。
……やるなら手っ取り早くしなければ、元も子もなくなってしまう」
すぐさま駆け出そうとしたケータに、慌ててAが呼び止める。
やっても良いが、危険だと感じるのなら一度出直しても良い、と。
「そうだな……こちらがやられてしまう前に、えんらえんらを探し出すんだ!」
急がなければならないが、あくまでも冷静に対処するのだ。
小さい拳を高く掲げたフユニャンが告げたのに、
全員が同時に頷き合ってから拡散した。
〜･〜･〜
──どうやら、鉄工所の中に置かれている物でも、
如何にも不自然に動き出したりしている物を探し出せば良いようだ。
その方法でえんらえんらを探そうとすると、
中には彼女でない妖怪達が隠れていた事もあった。
そういった者達に遭遇してしまった後、
妖怪達は素直に鉄工所から出て行ってくれたが。
「こ、こいつで最後……?」
散々探し回って、鉄工所内で計三度も彼女の姿を見つけた。
動き続けていると、流石に身体が重たくなってきたケータが
不自然に動く物をこじんまりとした台の上に見つけてビー玉をかざす。
「──あらあら〜、見つかっちゃった〜」
そしてそれは当たりだったようで、不自然に動いていた物は
紫の靄を纏いながら、元のえんらえんらの姿に戻って行った。
「さあ、えんらえんら! もう逃げ場はありませんよ!」
散々探し回ったし、背後は壁、
目の前にはケータ達がしっかりと立ちはだかっている。
ウィスパーがビシッと人差し指を向けた先のえんらえんらは
この状況を全く不利だとは思っていない様子だが。
「う〜ん、そろそろ追いかけっこにも飽きてきちゃったわね〜……。
じゃあここからはお仕置きタ〜イム。泣いちゃっても知らないんだから〜♪」
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作者名：フェイル | 作成日時：2015年6月25日 0時
