第55話 怪魔 ページ15
「人間……! グフフフ……次ハ オマエにトりツいてやル……!」
男性が凶悪な笑みを浮かべてそう言った直後に、
気を失ったかのようにして地面の上に倒れ込んだ。
実際、彼はその後ピクリとも動きださず、まるで何事も無かったかのようだ。
──ケータには、それで事が収まってしまったように見えた。
「ニャアアアッ!? 何か出て来たニャン!」
「え……っ? えっ? 何が出たの? 妖怪ウォッチでも見えないんだけど……」
尚も、ジバニャン達は見慣れないものを前にして戸惑っているので
困惑するケータは妖怪ウォッチのライトでその姿を認めんとするが
ぐるりと周囲を見渡しても、仲間の視線の先にじっと集中して見ても何も見えず。
「見えないのですか!? この世のものとは思えないあの凶悪な姿が!」
「私達、妖怪とは違うという事か……?」
まさかその妖怪ウォッチでも姿が見えないなんて、と
ウィスパーの後に眉を寄せながら呟くA。
元々、チョーシ堂の店主と協力した彼女が作ったと言うそれだ。
もしこれでも見えない妖怪が居ると知れば、それはショックを受けるだろう。
「──あれが怪魔。通常の妖怪とは比べ物にならないほど邪悪な存在。
人間にとりつき、人の中にある悪い心を膨らませ、お互いに喧嘩させてしまう」
「なんとおそろしい!」
フユニャンが説明する怪魔と呼ばれる者の姿は
妖怪であるA達には、はっきりと見えていた。
全長で対比するなら、ケータの倍以上ある大きさの怪魔が目の前に居る。
「ニャッ!? こっち来るニャン!」
「…………??」
恐ろしいものに近づきたくない、といった様子で後退するジバニャン。
Aもケータを庇いながら下がるのに、
後者はそれに従いながらも状況が理解出来ずに居る。
そして──ケータがわかっていない内に、ウィスパーの様子が変わった。
「あふぅ……、ぐふ……。ぐふふぅ……」
「……ウィスパー!?」
「怪魔にとりつかれたか! こうなっては、俺には手の施しようがない……!」
明らかにウィスパーの標的はケータ達の方に向かっている。
苦い顔をしたフユニャンの言葉に、
彼らは一体どうすれば良いかのかと動揺した──その時。
彼らの背後の草むらから、一つの影が躍り出た。
それを認めた瞬間、フユニャンが驚いたように目を見開く。
「──アイツは……!」
「行くぜ! ガッツ!! うおりゃああああああああ!!」
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作者名：フェイル | 作成日時：2015年6月25日 0時
