【妖怪ウォッチ】望みも, 願いこそあれ。 (ページ22)

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･Story 20 ページ22

すると、ヤクザの傍らに並ぶようにして歩く
明らかに人間でない、リーゼントの髪型をもった何かを見つけた。

「…………もしかして……あれが?」

「そう、あれが今あの人間にとりついている妖怪だ」

「…………」

凄い、本当に見えているようだ。

試しに他にも居ないかと、
周囲を見渡して光の向きを四方八方へと動かす。

意味の解らない場所で何がおかしいのか大爆笑をしている
人の傍らには、何故かうつぼが居たり

やたら負のオーラを醸し出している人の傍には
得体の知れない紫色の何かが寄り添って居たり。

「…………」

まさか先ほど、突然何かに思い至ったかのように
奇声を上げながら妖怪ウォッチを完成させた店主にも

何かあるんじゃないかと、ライトを向けてみる。

「……ん? 何だ、ワシを見ても何にもならんぞ?」

「…………(明らかに何か居るんですけど……)」

チョーシ堂の店主の頭上には、一匹の蝶。

蝶にしてはサイズも異常なほど大きいし形も見た事のないものだから
恐らくこれも妖怪なのだろう。しかし、何故に蝶?

「オロチ、あれ何て妖怪?」

「……ぜっこう蝶というやつだな。よく似た妖怪にゼッコウ蝶
というのも居るが、こいつは前者の方だろう。しかし、いつの間に……」

「…………なるほどね」

絶好調……そういう事か、と納得する。

後者の妖怪に関しては何のことかよくわからないが
今のところはどうでも良いだろう。

それよりも、今はずっと重要なことがある。

「……おじいさん、もしかして昨日まで本気じゃなかったんですか?」

「え? ……い、いや、そんな訳はなかろうよ」

明らかに動揺した様子を見せた店主に、深く溜息を吐いたA。

どうせ遅かれ早かれ完成はさせるのだから、
早くしてくれた方が良かったというに。

もっと早く気がついていれば、
この妖怪ウォッチも早く手に入れられたのだろう。

「──だが一先ず、しっかりと機能するようだな。
これで、普段は見る事の出来ない妖怪の姿も見られるようになる」

「うん! これで妖怪達と通じ合うことが出来る
──本当にありがとう、おじいさん」

オロチの言葉に、素直に頷いて笑みを浮かべたAが
店主の姿を見上げると、微笑ましそうに頷き返したその人が

ふと思い出したように視線を空へと上げ、口を開く。

「そうだ、妖怪ウォッチを使うのであれば、これも必要だな」

「?」