君に届けたいこの歌を (ページ5)

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【ラウール side 】

いつも通り学校に行って、今日の仕事は珍しく夜からだったから

僕は久しぶりに歩いて帰っていた

マネージャーに送ってもらおうかとも思ったけど、

A ちゃんとすごく仲が良かったマネージャーさんと2人きりの車内はなんだかすごくいづらくて

今日は断った

僕の学校から駅までは歩くとそこそこかかる距離だ

そこを歩くとなんだか気が晴れる気がして

僕はただただ変わる景色を眺めながら歩いていた

女の子達が集まる商店街を通り過ぎる際に僕はマスクをきちんと着け、俯いて歩く

気づいてもらえることは嬉しいけど、騒がれると面倒だし

でも今日は、なんだかいつも以上に騒がしい

( バレてる·····？ )

とも思ったけど、女子達の目線の先は僕じゃない

( 良かった、 )

でも、なぜそんなに騒いでるんだろう

女子たちの目線の先を見ても、もうそこには誰もいなかった

なんだか無性に気になって、店に入るふりをして女の子達の横を通った僕

その時に聞こえたワードは、僕を混乱させるには充分すぎた

「ねぇやっぱり、さっきの人 A ちゃんだよ」

「え、だよね？でもあの子確か行方不明じゃなかった？」

「待って、やばくないそれ？警察言う？」

「でも分かんないじゃん、これで違ってたらシャレになんないよ」

「確かにそうだわ」

見ると、その子達とは別の女の子達は涙している子もいた

抑えられなかった僕の体は反射的に動いていて

「どこにっ、どこにいましたか！！！」

「えっ？」

「その女の子です！どこに向かってましたか！？」

「えっ···と、あっち側·····」

ありがとう、その言葉を伝え僕は走り出していた

( A ちゃん、間違っててもいい、でも行かないと)

夢中で走っていた