五、 ページ7
翌日、乱歩さんの同行を終え、
昼過ぎに横浜へ帰ってきた私は、探偵社よりも先にその下ーーーーーー喫茶うずまきの扉を開いた。
「黙れ迷惑噴霧器…っ!」
…否、語弊があった。
正しくは、喫茶うずまきの扉を少しの躊躇いとともに開けた、だ。
扉を開ければ、国木田くんが太宰くんにくどくどと説教していて、
周りの店員さんやお客さんも微笑ましそうに眺めている。
探偵社員は勿論苦笑いだが。
その中に見慣れぬ姿を見つけつつも先にやることがある、とそちらへ歩み寄った。
「全く…止めなさい、そこの阿呆2人組」
その言葉で国木田くんの動きがピタリと止まる。
太宰くんはこちらを見て表情をぱっと明るくした。
「おお、Aさん帰ってたんですね!おかえりなさい〜」
「ただいま。 今日も楽しく大騒ぎ中かしら?」
「ったく…楽しいことがあるか。
この包帯無駄遣い装置をどうにかしてくれ。A」
盛大な溜息とともに懇願されたが、生憎私もそんな元気はない。
要するに面倒。以上。
「…それで、そちらが新人の白虎くんかな?」
私がそう言って白髪の彼の方を見ると、
肩を震わせて大きな声ではいっと返事をした。
「な、中島敦といいます。
よろしくお願いします。…えっと…」
「…私の名はA。
探偵社では主に情報収集と他の社員ーーーーーーというか大体そこの阿呆2人ねーーーーーーの補佐をしているわ。
よろしくね、敦くん。」
そう言って微笑むと
今度は、肩の力を抜いてはい、と応えてくれた。
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朝希 緑 - 素敵な作品です!揺るがない国木田くんwww (2016年9月9日 7時) (レス) id: 30b207dab7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まちか x他1人 | 作成日時:2016年6月19日 11時