三十、 ページ35
「青丹、こいこいです。
……それで、乱歩さんはどう思います?鏡花ちゃん」
「猪鹿蝶、こいこいだ。
……どうもなにも、僕は探偵社の人事に興味はないよ。
まあ、それにまだ“入社試験”も終えていないだろうに。」
「ですよねぇ…」
花札をぱらぱらとめくり合わせながら、
ぽつりぽつりとそんな話をする。
「(まあ、乱歩さんやほかの探偵社員との相性はそれなりに良さそうだし、
こちらに危害を加えようという意思は感じない。
…警戒はしておくけれど、現状維持が一番かな?)」
私は探偵社をーーー乱歩さんと社長を守らなければいけない。
その思いでここに来た。
今は守りたい人も、二人だけではなくなったけど。
『俺は俺の理想のためにーーーーー!』
思わずふっと頬が緩む。
いい友人に恵まれたことが、
ここに来てもう一つの幸せだった。
「A、誰の事考えてるかは大体わかるけどさぁ、
花札の続き!早くしよう!」
「はい、乱歩さん!」
ここに来て、やっと光に出会えた。
鏡花ちゃんが心からそれを望むのなら、私は今度こそ与える側になりたい。
それが、あの日私を光で照らしてくれた
この人たちへの恩返しなのだから。
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朝希 緑 - 素敵な作品です!揺るがない国木田くんwww (2016年9月9日 7時) (レス) id: 30b207dab7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まちか x他1人 | 作成日時:2016年6月19日 11時