検索窓
今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:52,524 hit

九、 ページ11

「あーつしくんッ!」

そう呼んで彼の背中をぽんと押すと、ビクリと肩を揺らした。

「わ、Aさん」

「初仕事?」

「は、はい…」

カチコチと動いていて正直心配なのだが、まあ谷崎兄妹も同行するようだし、大丈夫だろう。

「そっか、頑張ってね」

そう言うと、敦くんは引き締まった顔をして、元気よくはいっと応えた。


そこへ国木田くんもやってくる。

「おい小僧
…不運かつ不幸なお前の短い人生に些かの同情が無いでもない。、故に」

そう言いながら胸ポケットーーーそこに仕舞われた手帳に手を伸ばす。

彼が取り出したのはそこに挟まっていた一枚の写真。


“…この街で生き残るコツを、一つだけ教えてやる”


その言葉で言わんとしていることの察しはついた。

敦くんと共に写真を見る。
そこに写るのは黒い外套を着た男。


「こいつには遭うな、遭ったら逃げろ。」

敦くんは意味がわからないというように説明を求める。


「…マフィアよ。ポートマフィアの芥川。

まあ尤も、“ポートマフィア”っていうのは他に呼び方がないから、そう呼ばれているだけなんだけどね。」

「何故危険なのですか?」

私たちの緊張を読み取ったように顔を強ばらせて言う敦くん。

国木田くんはーーーーーなにか思い出すように目を伏せる。

「そいつが能力者だからだ。」

「殺戮に特化した、戦闘向きの異能力者。
軍警でも手に負えないほどのね。」


「…俺でも、奴と戦うのは御免だ。」



……もう二年前になる。
彼は芥川と戦ったのだ。

きっとあの時のことを思い出しているのだろう、と。
そう思った。

十、→←八、



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (62 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
67人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

朝希 緑 - 素敵な作品です!揺るがない国木田くんwww (2016年9月9日 7時) (レス) id: 30b207dab7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まちか x他1人 | 作成日時:2016年6月19日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。