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60話 ページ10

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赤也「……丸井先輩、コイツのこと泣かせたら、俺、先輩でも容赦しないっスから」



ブン太「あぁ、わかってる」



赤也「……わりぃ、俺、行くわ…」



A「赤也……」




遠ざかってゆく赤也の背中に、ズキンと痛んだ胸を押さえた。


そんな様子を見て、ブン太先輩は私の手をギュッと握りしめた。




ブン太「ゴメンな、アイツはAにとっても特別なヤツだろ? だからアイツにだけは隠しておきたくなかったんだ。 俺にとっても可愛い後輩だしな……」



A「いいんです…私も、赤也にはちゃんと言おうって思ってたから…」



ブン太「俺らってさ、誰かの涙の上に成り立ってんだよな。 でもよ、お前がそんな悲しい顔してても、誰も嬉しくないだろぃ? だからこそ俺、お前のことめいっぱい幸せにする」



A「先輩…」




先輩はまるで想いを伝えるようにつないだ手に力を込めた。


見上げた目に映った先輩の瞳は、これまで見た何よりも優しくて、また泣きそうになる。


私は、こんな風に向き合ってくれる、大切にしてくれる先輩が大好きだ。


やっぱり誰よりも、大好きだ。


好きすぎて、泣きたくなる…。




ブン太「全国大会が終わるまで隠し通すの辛いかもしんねぇけど、大丈夫か?」



A「はい!全然平気です!」



ブン太「ははっ、いつも通りいい返事だな。 さてと、そろそろ戻るか。 あんまり二人でいると怪しまれっからな。 A、先に戻っててくれねーか? 俺、ちょっと間空けて戻るわ」




ブン太先輩はにっこりと笑って、私の頭にポンと手のひらをのせた。


大好きな先輩の手のひらの感覚、あたたかさ。


何度でも何度でもきゅんとなる。




A「はい!」




先輩を背に歩き出す。


強く握り合った手は、まだかすかに疼いてる。


今日、せっかく気持ちが通じて、まだ一緒にその余韻に浸ってたい、けど、ガマン。


これからのこと考えたら、こんなガマン、序の口だよね…。





風に乗って、潮の香りが鼻をかすめた。




新しい季節が、熱い夏が、やってくる。






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となみ - 彩さんの全作品、読ませていただきました。どの作品も、お互いを大切に想い合う気持ち・思いやりにあふれており、また常に前向きな姿勢が読んでいて心地よかったです。ブン太のお話、いつか続きが読めたら嬉しいです。これからも頑張ってください。 (10月11日 21時) (レス) @page26 id: e6430f453c (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 彩さんこんばんは。返信遅れてしまいすみません。続きを書いてくださるなんて!とても嬉しいです!楽しみに待ってます!体に気をつけてください! (2022年2月4日 19時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - かるぴんさん» ありがとうございます!時間が空いてしまいましたが、続きを書いてみようかなって思います。 (2021年12月12日 11時) (レス) id: 0d6668a6df (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - とても素敵なお話です!続きがあったら読みたいです! (2021年5月16日 18時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 瑞稀さん» 瑞稀さん、嬉しいコメントありがとうございます!レスとんでもなく遅くなってごめんなさい(>_<) (2018年7月7日 23時) (レス) id: 64226139fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年7月30日 20時

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