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59話 ページ9

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薫先輩が花火をやるならせっかくだからと、別荘にあった浴衣を着付けてくれた。


黄色の浴衣の裾に描かれたヒマワリが、カランコロンという音とともにヒラヒラと揺れる。


編み込まれたサイドの髪にチラリと見え隠れする花の髪飾りは、まるで浮かれた私の心を表してるみたいに鮮やかで。


滅多に着ない和服に、心なしか仕草までしおらしくなってちょっぴり気恥ずかしい。



ブン太先輩、なんか言ってくれるかなー……



そんな淡い期待を抱きながら、みんなが待つ浜辺へ向かう。


到着した頃には、すでにみんなの手元では、赤や緑、黄色の鮮やかな光が辺りを彩っていた。



赤也「おー、A!ホラ」



赤也が駆け寄ってきて、手持ち花火を一本くれると、自分の花火から火を分けてくれた。


パチパチと音を立てながら、金色の火花が雪の結晶のような繊細な模様を描いては消えていく。


花火の印象的な夏の香りがあたりを包んでいた。



A「わぁ…きれーー……」



赤也「きれいだな……」



A「ね!」



赤也「そうじゃなくてよ…。 まぁ、いっか」



A「え? 何?」



赤也「なんでもねぇ」




フイッとそっぽを向く赤也。



………?



その表情は、シュッと消えた花火とともに暗闇に溶けた。


その場はシンと静まりかえって、遠くにみんなの笑い声が波音とともに聴こえる。


赤也は黙ったままで、私は赤也のまっすぐな視線を肌で感じていた。





A「赤也…?」



赤也「A…」



ブン太「赤也」




ブン太先輩?




赤也「丸井先輩…」



ブン太「お前、Aのことすっげぇ大切にしてっから、お前にだけは直接ちゃんと言っときたかったんだ」



赤也「何…っスか…」



ブン太「赤也、俺な、Aと付き合う」



赤也「……え?」




え……?




ブン太「いい加減な気持ちじゃねぇよ。
お前に誓う。Aのこと、ぜってぇ大切にする。
だからAのこと、俺に任せてくれ」




ブン太先輩……。




ブン太先輩の言葉が、だんだんと浸透して意味を持って心に迫ってくる。


言葉にならない嬉しさが、涙になって一粒流れた。





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となみ - 彩さんの全作品、読ませていただきました。どの作品も、お互いを大切に想い合う気持ち・思いやりにあふれており、また常に前向きな姿勢が読んでいて心地よかったです。ブン太のお話、いつか続きが読めたら嬉しいです。これからも頑張ってください。 (10月11日 21時) (レス) @page26 id: e6430f453c (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 彩さんこんばんは。返信遅れてしまいすみません。続きを書いてくださるなんて!とても嬉しいです!楽しみに待ってます!体に気をつけてください! (2022年2月4日 19時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - かるぴんさん» ありがとうございます!時間が空いてしまいましたが、続きを書いてみようかなって思います。 (2021年12月12日 11時) (レス) id: 0d6668a6df (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - とても素敵なお話です!続きがあったら読みたいです! (2021年5月16日 18時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 瑞稀さん» 瑞稀さん、嬉しいコメントありがとうございます!レスとんでもなく遅くなってごめんなさい(>_<) (2018年7月7日 23時) (レス) id: 64226139fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年7月30日 20時

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