73話 ページ23
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『アンタ、自分の思いを幸村君に押し付けてるだけじゃん』
はぁ…
そうかもしれないなぁ…
ベッドに横になって大きなため息を空に投げた。
その時スマホが手の中で震えた。
A「先輩、こんな時間にどうしたんですか?」
ブン太「いや…最近練習忙しくてゆっくり話せてなかったから、元気かなって思ってよ」
A「あ…。 はい! 元気ですよ! ふふ、毎日部活であってるじゃないですか」
ブン太「……やめろよなぁ、そういうの」
A「え…?」
ブン太「A、凹んでる時に限って元気な声出すじゃねーか。 どーした? 何かあったか?」
A「あ…」
ブン太「あっ…ちょっと待った! こーいう時は直接聞いた方がいいよな…、うん。 お前そこで待ってろ。 今そっち行く」
A「え…? でももう遅いし…って切れてるし…」
しばらくして、私の家の近所のスタバで待ち合わせというメッセージが入った。
今は関東大会直前の忙しい時期で、ブン太先輩もきっと疲れてるはずなのに…。
なんとなく申し訳なくてスタバへ向かう足が急く。
A「ブン太先輩」
ブン太「おう、早かったな」
A「こんな遅くにわざわざここまで…明日学校ででも良かったのに…」
ブン太「バーカ、そんなこと気にすんじゃねぇよ。
そんなに遠くもねぇし、ランニングにはちょーどいい距離だしよ。
それに隠してんだからゆっくり学校で話なんてできねーしさ。 な?」
ブン太先輩はいつもの優しい笑顔でポンポンと私の頭を撫でた。
ブン太「それに…俺だってゆっくり会いたかったしよ」
言いながら帽子のつばを下げた。
先輩…照れてる?
なんか可愛い…
ブン太「それよりどーした?」
A「……大したことじゃないんです…」
ブン太「コラ! それお前の悪い癖」
先輩は小さくコツンと小突いた。
そして優しい目で私を覗き込む。
ブン太「 Aは我慢しすぎんだ。
もう少し気持ち吐き出せるようになんねーとな。
前に言ったろ? 俺はお前が甘えられる場所になりたいって。
ただでさえ変なルールのせいでちゃんと見ててやれねぇんだ。
Aが悩んでる時ぐらい力になりてぇんだよ」
そういった先輩の目には少しだけ寂しさが見え隠れした。
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となみ - 彩さんの全作品、読ませていただきました。どの作品も、お互いを大切に想い合う気持ち・思いやりにあふれており、また常に前向きな姿勢が読んでいて心地よかったです。ブン太のお話、いつか続きが読めたら嬉しいです。これからも頑張ってください。 (10月11日 21時) (レス) @page26 id: e6430f453c (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 彩さんこんばんは。返信遅れてしまいすみません。続きを書いてくださるなんて!とても嬉しいです!楽しみに待ってます!体に気をつけてください! (2022年2月4日 19時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - かるぴんさん» ありがとうございます!時間が空いてしまいましたが、続きを書いてみようかなって思います。 (2021年12月12日 11時) (レス) id: 0d6668a6df (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - とても素敵なお話です!続きがあったら読みたいです! (2021年5月16日 18時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 瑞稀さん» 瑞稀さん、嬉しいコメントありがとうございます!レスとんでもなく遅くなってごめんなさい(>_<) (2018年7月7日 23時) (レス) id: 64226139fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩 | 作成日時:2015年7月30日 20時