65話 ページ15
-
合宿の朝は早い。
まだ少しひんやりとした空気の中、私たちはコートに向かう。
見上げると抜けるような青空が広がっていた。
風は気持ちよく吹き抜けていく。
ブン太「おはよっ!」
うわっ!先輩…!
この青空に負けないくらい爽やかな、太陽に負けないくらいピカッと輝く笑顔でブン太先輩は笑った。
なに、なんで朝からこんなに爽やかなの?
なんでこんなにかっこいいの!
この人が私の彼氏か…。
わー…顔が熱い…。
A「お、おはようございますっ……」
ブン太「ん? なんか顔真っ赤……あ……そっか。へへっ。ま、今日も頑張ろーな!」
ブン太先輩はそう言ってぽんっと私の肩を叩くと、相変わらずの極上の笑顔を見せて、ジャッカル先輩の元に走って行った。
ブン太先輩…相変わらずかっこいいな…。
あれは…昨日のは本当に夢じゃないんだよね…?
私たち、付き合うことになったんだよね…?
なんだかまだ信じられないよ。
あのブン太先輩が、私と同じ気持ちだなんて。
あんなかっこいい人が、こんなに普通の私を好きになってくれるなんて。
『スゲー好きだ』
ふと先輩がくれた言葉が蘇って、また顔に血が上った。
わーっ////////
マズイマズイ。
薫「なーに? 真っ赤になっちゃって」
A「わっ 薫先輩?! な、なんでもないですっ!!」
薫「ふぅーん」
うわ…薫先輩って動物並みに勘がいいから、侮れないな…。
気をつけなくっちゃ。
A「ほんとなんでもないです! それより今日のスケジュールなんですけどーー……」
私はごまかすように話題を移した。
すると、後ろを歩いてた菜々美ちゃんも会話に混じってきた。
菜々美ちゃんは、昨日の話なんてなかったみたいに明るくて、普通だった。
菜々美ちゃんは一日中その調子だった。
朝練中も、バスの中も、一日中、菜々美ちゃんの笑顔は崩れなくて。
菜々美ちゃん、ポーカーフェイス、上手だな…。
でも、それだけいろんな思いを自分の中にしまいこんでるってことだ。
そんな菜々美ちゃんの強さは私を悲しくさせた。
そのモヤモヤは、バスの中でも、帰ってきてからも抜けなくて、部長の病院まで引き連れて行ってしまった。
-
164人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「テニスの王子様」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
となみ - 彩さんの全作品、読ませていただきました。どの作品も、お互いを大切に想い合う気持ち・思いやりにあふれており、また常に前向きな姿勢が読んでいて心地よかったです。ブン太のお話、いつか続きが読めたら嬉しいです。これからも頑張ってください。 (10月11日 21時) (レス) @page26 id: e6430f453c (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 彩さんこんばんは。返信遅れてしまいすみません。続きを書いてくださるなんて!とても嬉しいです!楽しみに待ってます!体に気をつけてください! (2022年2月4日 19時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - かるぴんさん» ありがとうございます!時間が空いてしまいましたが、続きを書いてみようかなって思います。 (2021年12月12日 11時) (レス) id: 0d6668a6df (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - とても素敵なお話です!続きがあったら読みたいです! (2021年5月16日 18時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 瑞稀さん» 瑞稀さん、嬉しいコメントありがとうございます!レスとんでもなく遅くなってごめんなさい(>_<) (2018年7月7日 23時) (レス) id: 64226139fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:彩 | 作成日時:2015年7月30日 20時