63話 ページ13
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菜々美「そんなルール守るのなんて簡単だと思ってた。その人、全然私のタイプじゃなかったし。
……でも……その人、私がいじめられそうになると、どこからともなく現れて、バカみたいに私のことを助けるの。
ラクガキだらけの机は、毎日ちょっとずつキレイになっていって、最後には可愛い星の絵なんか描かれてた。
呼び出されれば、急に現れて『俺の彼女だから仲良くしてやってくれ』ってニッコリ笑って、私の手を引いてその場から逃がしてくれた。
テニス部のマネの仕事を紹介してくれて、大切な仲間、友達ができた。
帰りはこっそり美味しいパン屋で焼きたてのパンを買って、分け合って食べた……。
あのパン、美味しかったな……。
そしたらね、灰色の日々が、カラフルに色づき始めたの。
その人との日常が、薫先輩やテニス部のみんなとの日々が、私を幸せにしてくれた。
周りに人が集まり始めたら、クラスの子のいじめもだんだん少なくなって、最後にはなくなった。
その人のおかげで、私は救われたの。
私はルールを破って、誰も本気で好きにはならないその人を、本気で好きになった。
その人のいる世界で、私は生きてた。
好きで……好きで……大好きで……。
本気で好きだってバレたら、ゲームは終わり。
もうそばにいられなくなる。
なら、気持ちは伝えない、そう思ってた。
ただ、ただ、そばにいたかったの。
でもね、そのうち気持ちが溢れて、伝えずにはいられなくなった。
私、その時の精一杯の気持ちをぶつけたよ。
でも、『そんな可愛い言葉、これから好きになる男にでもとっておけ』なんて、サラッとかわされちゃった。
何度も、何度も……。
最初から望みなんてなかったんだ。
未来なんてなかった。
気持ちは届きなんてしなかったんだ…。
ゲームだったんだから…」
菜々美ちゃんは、深いため息をついて、空を見上げた。
菜々美「知ってるのに……何度も諦めようとしたのに……わかんないよ……。
どうしたら、忘れられるのかなぁ？」
菜々美ちゃんは、声も出さずに、涙を流した。
A「菜々美ちゃん……」
私はかける言葉が見つからなくて、ただただギュっと菜々美ちゃんを抱きしめた。
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となみ - 彩さんの全作品、読ませていただきました。どの作品も、お互いを大切に想い合う気持ち・思いやりにあふれており、また常に前向きな姿勢が読んでいて心地よかったです。ブン太のお話、いつか続きが読めたら嬉しいです。これからも頑張ってください。 (10月11日 21時) (
レス) @page26 id: e6430f453c (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 彩さんこんばんは。返信遅れてしまいすみません。続きを書いてくださるなんて！とても嬉しいです！楽しみに待ってます！体に気をつけてください！ (2022年2月4日 19時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - かるぴんさん» ありがとうございます！時間が空いてしまいましたが、続きを書いてみようかなって思います。 (2021年12月12日 11時) (レス) id: 0d6668a6df (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - とても素敵なお話です！続きがあったら読みたいです！ (2021年5月16日 18時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 瑞稀さん» 瑞稀さん、嬉しいコメントありがとうございます！レスとんでもなく遅くなってごめんなさい(>_<) (2018年7月7日 23時) (レス) id: 64226139fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彩 | 作成日時：2015年7月30日 20時
