18話 ページ18
数日後、私は退院した。
留学は一度中止となり、私は荷物の整理をするためアメリカに戻ってきた。
こんな形でみんなに会うことになるなんてな…。
松葉杖をつきながら空港に降り立つ。
空港には、みんなが迎えに来てくれた。
リン『おかえり、A。会いたかったよ！ずっと連絡なかったから心配したよ。』
A『私もみんなに会いたかった！
ずっと連絡できなくってごめんね。こんなことになっちゃってさ。』
精一杯の笑顔で言ったものの、ダメだなぁ。笑顔がどうしても引きつっちゃう…。
ユリア『足は痛む？？平気？？』
A「うん、普段は痛みはもう大丈夫。迎えに来てくれてありがとう！さ、行こっか！」
私はできるだけみんなと普通に話したくて、平静を装った。
みんなはそんな私の様子を汲み取ってくれて、いつものように雑談をしながら車内を盛り上げてくれた。
私の部屋は何もかもが出発前と変わらないのに、全く別の人の部屋のように感じる。
テニスのトレーニング本、戦術の本、メンタルトレーニングの本…私と無関係になってしまったものたちが色を失ってしまった。
全てがテニスと繋がっているものばかりだった。
必要ないとはわかっていても、捨ててしまうとこの数年間が空っぽになってしまう気がして、それらを持つ手は自然とダンボールの方へと引き寄せられる。
全てが詰まったダンボールはいくつも重なった。この小さな部屋に収まっていたとは思えないくらい多かった。
それはまるで私の数年間のようだった。
テニスを始めてたった4年。期間としては長くはない。でもそこに詰まった思い出や、情熱や、夢は、自分が思っていたよりもずっと大きくなっていた。
私の生活がどれだけテニスに染まっていて、どれだけ自分にとって大切なものだったか、目の前に突きつけられたようだった。
それを失ってしまった痛みがじわじわと私を襲う。
涙が拭いても拭いても溢れてくる。
リンがそっとハグしてくれた。
リン『辛いよね…。泣いちゃえ。いっぱい。我慢しないで。』
私は子供みたいにわんわん泣いた。
全部全部涙と一緒に流れて、全てなかったことにできたらいいのに。
大好きな周と、大好きなテニスで、同じ目標を目指して進んでいた、幸せだったあの頃に戻れたらいいのに。
どれくらい泣いてただろう。その間、リンはずっと隣にいてくれた。
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彩(プロフ) - 亜弥*さん» こんな嬉しいコメント、泣きそうです！どうもありがとうございます！！！頑張ります！！ (2015年8月23日 21時) (
レス) id: 42a026aa1a (このIDを非表示/違反報告)
亜弥* - とっても感動しました。読み終えて立つと足がガクガクしてあまり立てませんでした。途中はどうなるかと思いました。これからも頑張って下さい。 (2015年8月23日 13時) (レス) id: de645498d4 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - りらさん» りらさん、3作品にもコメントくれてありがとうございます！！(*^_^*) (2015年1月22日 7時) (レス) id: 1b761003cc (このIDを非表示/違反報告)
りら - こんにちは。前作とっっっても感動しました！！！！これからも頑張ってください！ (2015年1月19日 1時) (レス) id: 22b58266a7 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 林道さん» 林道さん、気分を害なんてとんでもない！こんなに丁寧に読んでいただいて、細かいアドバイスまでいただいて、感激です！どうもありがとうございました。最近なんだかうまく書けないのですが続けて書いて行こうと思います！ (2015年1月16日 23時) (レス) id: 1b761003cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彩 | 作成日時：2014年7月13日 0時
