17話 ページ17
ー不二sideー
正直自分の決断が正しいのかはわからない。
英二が言うように、僕が残ることで、Aが余計に辛かったら…そう思うと怖い。
僕には何ができるだろう…。
僕は小さな寝息をたてながら眠るAの頬にそっと触れた。
Aは、眠りについたまま僕の手に自分の手を重ねた。
Aの長いまつげに、じんわりと大きな涙の粒が溜まり、頬を伝った。
辛いんだろうな…。
僕はAの細い手を優しくしっかりと握り続けた。
せめて、Aが少しでも寂しくないように、少しでも早く心が軽くなることを祈って…。
ーAsideー
ふと目を開けると、周が私の手を握ったまま眠っていた。
周…。
ずっとこうしてくれてたんだ…。
『ここでもちゃんと夢は叶えるから心配しないで。ちゃんとプロになるから。』
周はそう言って、アメリカに帰らず残ってくれた。
周は毎日少しずつ小さなブーケを持ってここに来てくれる。
私のベッドの周りには、周が持ってきてくれた色とりどりの花が一面に置かれ、甘い香りを届けてくれた。
壁には周の美しい空の写真が並ぶ。
写真の裏には、奈津と英二先輩からのメッセージとも手紙とも言える言葉が一枚ずつ丁寧に書かれている。
それは、二人が、私が寂しくないようにと書き溜めていてくれたものだった。
周はそのメッセージ入りの写真を、毎朝一枚ずつ私の枕元に置いて行く。
写真とメッセージは私の心を暖かく包んだ。
朝焼けの空、雲ひとつない真っ青な空、飛行機雲が流れる空、オレンジ色に染まった空…。
写真は、周の心を映すように、透きとおっていて、優しい色が広がっていた。
私はその写真を見ると、周と同じ景色を見れている気がして嬉しくて、毎日それを壁に飾っていった。
気づけば、壁一面に敷き詰められている。
ここにはこんなにも、周や奈津、英二先輩の優しさが、想いが溢れている。
みんなの優しさに涙が溢れてきた。
不二「A？辛い…？大丈夫…？」
周が目を覚まして、心配そうに私をのぞきこむ。
私、ダメだな。泣いてばっかり。
私ってこんなに泣き虫だったっけ…。
A「ううん、違うの。
幸せだなぁって思って…。嬉しくて。
周、いつもありがとう。
私、頑張るから。」
いつまでもこんな風に落ち込んで心配かけてちゃだめだな。
頑張ろう。
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彩(プロフ) - 亜弥*さん» こんな嬉しいコメント、泣きそうです！どうもありがとうございます！！！頑張ります！！ (2015年8月23日 21時) (
レス) id: 42a026aa1a (このIDを非表示/違反報告)
亜弥* - とっても感動しました。読み終えて立つと足がガクガクしてあまり立てませんでした。途中はどうなるかと思いました。これからも頑張って下さい。 (2015年8月23日 13時) (レス) id: de645498d4 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - りらさん» りらさん、3作品にもコメントくれてありがとうございます！！(*^_^*) (2015年1月22日 7時) (レス) id: 1b761003cc (このIDを非表示/違反報告)
りら - こんにちは。前作とっっっても感動しました！！！！これからも頑張ってください！ (2015年1月19日 1時) (レス) id: 22b58266a7 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 林道さん» 林道さん、気分を害なんてとんでもない！こんなに丁寧に読んでいただいて、細かいアドバイスまでいただいて、感激です！どうもありがとうございました。最近なんだかうまく書けないのですが続けて書いて行こうと思います！ (2015年1月16日 23時) (レス) id: 1b761003cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彩 | 作成日時：2014年7月13日 0時
