2つの職業 (ページ34)

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母さんを変えてしまったのは自分

自分の笑顔をなくしたのも自分

ある日、大御所の女優さんと共演した

その人はスタッフさんからの人気が低かった
なぜなら、とてつもなく厳しい人やったから

｢ちょっとあなた。｣
『…はい、』

ヘアセット中の彼女に呼ばれた

｢あなた、この仕事楽しい？｣
『…楽しいですよ！演技好きですし！』

｢嘘ね。｣

｢あなた、役者向いてないわよ。今すぐやめなさい。｣

ヘアメイクさんや、ADさんは可愛い可愛い子役になんて言うことを言うんだこのババア…という顔をしていたけれど、私はその言葉に救われた

『ありがとうございます…』

強がりなんかやなくて、ほんまに嬉しかった

この仕事を辞めれる理由になった

この人は私が欲しい言葉をくれる人

｢あなたが抱えてるものは、酷いものだわ。離れた方がいいわ。｣

私にだけ聴こえる声で言ってくれた

マネージャーさんの所に走った

『マネさん！』
｢どしたの｣

『私！この仕事辞めます！！！』
｢……え？｣

簡単には辞められへんかったけど、母さんと話し合って辞めることになった

最後まで貝塚さんには反対されたけど、マネージャーさんも理解してくれて後押ししてくれた

小中学生から友達を作ることがなかった私は、高校で浮いた存在になってしまった
いじめられる理由としては十分やった

でも、母さんが元に戻ってくれた事が私からしたらいじめなんて気にならないくらい嬉しかった

｢あんたはほんまにおもろい子やなぁ｣

そんな一言で芸人を目指すほど

そして冒頭に戻る

『……貝塚さん、お久しぶりです、、』

｢そんな気張らないでよ！！あはは！｣

嫌なサングラス

私がチャラい人を苦手になった理由

｢Aちゃんが辞めてから事務所右肩下がりなんだよねぇ……｣

『、すみません…』
｢いやいや！Aちゃんが悪いわけじゃないんだよ…？芸能界が嫌になったのかと思ってたらさ〜？芸人さんでしょ〜？｣

下から上までサングラス越しでジロジロ見られるのが分かる

『…すみません、』
｢だーかーらー悪いんじゃなくてさーなんで辞めたのー？俺が手塩にかけて育てた女の子なのにさぁー｣

この詰め方が嫌い

あぁ、あんたのこと忘れてたのに

なんで私の人生に来るんだよ

怖いな〜、どうしよう、

｢うっわAちゃんじゃね？｣