ジヨン ページ8
俺らは、部屋に入りまた酒を飲み直した。
さっきの俺の発言？
本気だよ。
Aが、モテないなんて1度も思った事ない。
逆に、なんで男がいないのか……
それとも、俺に隠れて付き合ってたとか？
グルグルと頭ん中で妄想を膨らましていた。
｢さっきの話だけどさ。｣
｢ん？｣
｢私に彼氏がいた事ない。っていうの。｣
｢あぁ。｣
突然Aが、真顔で話すから俺の鼓動は早くなっていた。
｢ちょうどジヨンと出会う半年前かな？その時付き合ってた彼氏と別れたんだ。｣
｢まっ、マジ？！｣
俺は、初耳のその話に本気で驚いた。
｢その頃は、私も若かったじゃん？20歳の頃ってさ、大人に憧れてたんだよね。｣
｢へぇ……｣
｢私さ、本当に人を好きになる。って良く分からなかったんだ。大人の雰囲気があったその彼に何となく憧れて何となく近くにいてなんとなく……。｣
Aは、少し悲しそうに笑っていた。
｢その彼ね、結婚してたの。｣
｢えっ？！けっ、結婚？｣
｢そう(笑)結婚。分かんなかったんだよねー、会いたいって言ってくれる時に会っていて私が会いたいって言う時は大抵仕事が忙しい。って断られてて(笑)今思えば、自分の都合の良い時間にしか私に会ってなかったんだと思う。｣
おいおい……
俺の知らないAはかなりハードルの高い恋愛をしてたのかよ。
｢で？どうして別れたの？｣
｢たまたまね、彼が泊まってる時に電話が掛かってきてね。いつものように仕事の電話かな？と思ってたら、女の人の声が聞こえてきて。｢子どもが！｣って…。私、それまで全く疑ってもなかったから普通に会社の人と話してるだけだと思ってたら彼がね…｢子どもが怪我したって言うから帰る。｣って。｣
｢え？それって……｣
｢そう。その時初めて、その人が既婚者でお子さんがいるのを知ったの。｣
｢それで？｣
｢そのまま帰ってもらって、そこからは会わなかった。私は、知らなかったとしてもとても悪い事をしたと思ってる。だから、私は幸せな恋愛は死ぬまで出来ないと思ってる。｣
なんだよそれ……
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作者名：ニィチャ | 作成日時：2018年6月25日 23時
