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驚く間もなく、つかつかと歩いて来て私の手を掴んだ男の人。
「触ってんな、くそおやじ!!!」
く、くそおやじ!?
社長に向かってなんということを!
反論しようと、
「ただいま、A。」
え?
「先輩?」
そこにいたのはオミ先輩。
大学時代のサークルの先輩。
どうしてここに?
あれ?「俺海外に住みたいんだよね〜。」って、フラッと行ってしまった気が……。色んな国を放浪してるって噂されてたような……。
「おかえり、って言ってくんねぇの?」
って、
「離して下さい!」
いつの間にか腰を抱かれてピッタンコ。先輩の相変わらず整った顔が迫り来る。
「お坊っちゃま!」
おおお、
「お坊っちゃま?」
「いや、失礼。副社長。」
「副社長!?」
「んー?」
ちょっと待って下さい。
全然ついて行けません。
オミ先輩が副社長?
それに課長、お坊っちゃまってどういうことですか?
「はあ。やっと俺のモン。」
今度はいつの間にかあすなろ抱きされて、先輩に後ろから頬擦りされてる。これは一体。
「なー、オミー。やっぱりAちゃんが秘書が良いんだけどー。」
「あ゛?おやじは練習台だろ。」
「そんなこと言わずにさー。丁度慣れて来た頃だしさー。ほら。オミに直己つけてさ。」
「は?ふざけんな。おやじには直己さんくらいが丁度いいんだよ。」
「それはお前にも言えることだろ。」
「兎に角、Aは誰にも渡さねぇから。」
今私は社長と副社長に取り合いされてる?
多分、この2人は親子?
「あのぉ、先程からお話が全く見えないのですが。」
「ん?A、いつ発表しようか?」
やたら優しい声色で、しかも物凄く良い声で耳許で囁かれると、あの、ちょっと……
「何を、ですか?」
「ん?俺達の結婚。」
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作者名:ガヤキティ | 作成日時:2017年10月5日 22時