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おかしい。おかしい。おかしい。

私は今、社長室の前にいる。

部長の後ろを歩いている時間は長く長く感じていたけど、それは長い訳だ。だって社長室だもん。このフロア、初めて来たよ。いやいや、そうじゃなくて!

混乱する私を他所に、部長はドアをノックしようとする。咄嗟に部長の手を掴んでしまい、慌てて手を引っ込めた。

部長は「あはは。」と笑うと「大丈夫。悪い話じゃない。黙って連れて来て悪かったね。」と、聞いたこともない優しい声色で私を宥めると、部長は今度こそ社長室のドアをノックした。


その後のことは正直あまり覚えていない。

見るからに高級ソファはやっぱり座り心地がいいってことくらい。



嫌でも現実と向き合わないといけなくなったのは翌日だった。



私は総務部総務課から総務部秘書課に異動になったのだ。
昨日は、社長直々に辞令が言い渡され、4月からは社長付きになるからと、社長のSPとも噂される小林さんの元で修行するように(正しくは研修)命じられた。

折角楽しくなって来た受付業務に突然の別れを告げ、全く興味のなかった秘書としての日々が始まったのである。



____あれから5年。

私は立派な社長秘書である。
胸を張って言う、私は立派な社長秘書。

だって、流石は社長のSPとも言われる小林さん。容赦ない。1年と1ヶ月、みっちり。それはもう休みがない程に叩き込まれた。小林さんの手が離れてもどんなに小さな粗相だとしても、見逃されず繰り返し指導された。

秘書課に異動してからというもの、ロマンスなんて全くの無関係。私がこの会社に入った意味……なんて、そう言えばいつの間にか思わなくなっていた。人って変われる。

今となっては秘書が天職なのでは思える程。
要するに私は仕事が好きらしい。


そして今日はバレンタインデー。

社長が手作りをせがむから、仕方なく作って来ましたよ。

昨日、遅くまで接待だったのしてますよね。付き合わせたの社長ですよね。

ホワイトデーは期待させて貰いますから!



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作者名:ガヤキティ | 作成日時:2017年10月5日 22時

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