昔のお話8 ページ8
「まってっ!!キティは違うの!」
覚悟を決めて目をぎゅっと瞑ったその時、リリーは割れんばかりの声で叫んだ。
『やめて...言わないで...』
掠れるようなその声はリリーに届くことはなかった。
「キティは...キティは私に稼ぎの半分を渡してくれました。それが無ければ彼女は1位、私が最下位のはずです」
『やめて...それ以外は...』
「だから____________しぬのは私です」
私は膝から崩れ落ちた。 『そうじゃない』そう言いたいのに声は出ない。喉の奥に詰まったまま、首を横に振る事しかできなかった。
「キティ、私のせいでごめんなさいね。貴方と過ごせて楽しかったわ…ありがとう。前の貴方より笑顔いっぱいのあなたの方が素敵よ。ご飯はいっぱい食べるのよ。」
リリーが言うこと1つ1つに涙でぐちゃぐちゃになった顔でうんうんと頷く。
「キティはこれからも私の自慢の妹よ!」
「感動的だねぇ…じゃ、あばよ」
バンッバンッバンッ____________
3つの弾がリリーの胸を貫いた。それはあまりにも一瞬で、あまりにも簡単過ぎて、私の頭はそれを受け止めようとはしなかった。
「おっと、キティお前はリリーに稼ぎを分けた状態でも1位だったな!オレの見間違えだったガッハッハッ」
ヤツは最初から私とリリーの計画を知った上で、リリーを消すつもりだったのだ。
頭上で尚も下品に笑い続けるヤツはまさに悪党そのものだった。
「まあ、足でまといにも消せたし、お前は幹部昇進だ。良かったな!」
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