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慧「はい、Aちゃんは特別におれの隣!」
「……凄いいらない特権ですね」
慧「とか言って喜んでるじゃーん!嬉しいんでしょ??」
目の前にいるのは先輩なのに、何故か頭の中をさっきの涼介がよぎって。
あぁもう、仕事なのに。涼介も同期が変な奴に絡まれてるから助けた、ってだけなのに。
なんなの、、
慧「Aちゃーん?」
「は、はい?!」
慧「ずっと呼んでんだけど」
珍しく不機嫌になる先輩が、ちょっと怖くて。私なんかしたっけ、
慧「山田のこと考えてたでしょ」
「は、は?なんで…」
慧「図星かよ、」
「違っ!!」
慧「付き合ってんの?」
途端に声のトーンが落ちるからドキッとした。
私のことで一喜一憂する先輩がわからない。なんで、なんでこんなに、
「つ、付き合ってるわけ、ないじゃないですか……涼介ですよ?」
慧「結構イケメンと思うけど?」
「……ただの同期です。もうやめましょ、」
自分の席に座って、仕事に取り掛かる。
何故かこの部署は三課と隣で、特に壁で仕切られてるわけでもないから涼介がチラチラ目に入る。
声だって、聞こえるし。やっぱ仕事できるやつなんだなって感心。
って、今は人のことじゃなくて、
慧「おーやってるね、」
「報告書まとめろって先輩が言ったんですよ。まだ何も報告することないのに」
慧「いーの。今の自分の気持ちを言葉にしなきゃ伝わんないよ?」
「報告書をなんだと思ってるんですか」
先輩は、隣で仕事をやりながら私に話しかけてきて結構鬱陶しい。
俺のフィアンセなんて言うから同じ部署の人には当たり前のように変な目で見られるし
時々来る女子社員からはこそこそ話される始末。
「もう、話しかけてこないでください、」
慧「えー?やだ」
「なんで、」
慧「Aちゃんが好きだから?」
「冗談いいです」
『イチャイチャすんな〜』
『家帰ってからやってくださいよー』
先輩は、冷やかしが飛ぶ中でもお構いなし。むしろ楽しそうに笑ってて。
私もちょっと楽しんでもいいのかなって、珍しくポジティブに捉えてニコニコしてた。
慧「あ、笑ってるかわいい〜」
「……ありがとう、ございます、へへ」
涼介「……伊野尾、慧。俺のだっつーの、」
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作者名:真桜 x他1人 | 作成日時:2019年3月8日 0時