4 ページ4
○○！と叫んだその男は多分距離感がバグっている。会ったばかりのわたしに抱きついてくるのだから。
それか、ただの変態か。
「あい、たかった…ずっと、……」
私と彼の身長差はそれほどなかった。
私自身が高身長ということもあって、彼の頭はちょうど私の胴体の影に埋まる。
「…戦争が終わってから、…どれだけの月日が流れたか……俺はその本に封印されるし、……」
“戦争”とは？
顔を鎖骨ら辺で擦り寄らせながらツラツラと話す男。
この状況を考えるより先に聞きなれない言葉を耳にし、首をひねった。
「今度は俺を封印せんでな？…やく、そく…っっ」
少し震える手で背中に回された腕。
その力は意外と強くて、苦しい。
『ぅ、…』
思わず唸り声をあげると、突然ソイツは離れた。
「ごめっっ…く、苦しかったよな？」
1歩、2歩。
後ずさったソイツは「…て、あれ…？」と何か気づいた様子で顔を顰める。
『…まぁ、はい。苦しかったですけど…』
「…○○、は？」
『はぁ？』
急に○○、と呼んだり抱きつかれたり。
なんなんだこの人…と、頭の中には疑問が浮かぶばかりで。
正気を取り戻した様子で、私を見て唖然とするオーバーオールの男。
よく見たら若そう。
、
「だ、れ…なぁ、誰？…○○は？…ｯ…どこやねん！！！！！」
ふーっふーっと息を荒くさせながら背中からバキッとなってはいけないような音が鳴って、グンッと次には一片の黒い翼が見えだした。
鋭い目付きで私を睨むさまは、何かを憎むようで恨む…憎悪の含まれた目。その蜂蜜の瞳の奥は、黒い何かが燃え上がるようにゆらゆらと揺れている。
突如叫んだ摩訶不思議な男は、被っていたニット帽をくしゃりと握り潰してそれを捨てた。頭からは黒のつのが伸びていて、本当に想像の話でしかいない悪魔のような姿だ。
『………知らないよ。私はその○○と言う方も知らないし、君が封印っていうのをされていたこの本は友人の店で買ったものだ』
この本、と言って威嚇するように肩を上下させる目の前の青年に見せびらかす。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴくぴく - 更新ありがとうございます(ｽﾗｲﾃﾞｨﾝｸﾞ土下座) (2022年3月8日 18時) (
レス) @page11 id: 6a70e0dbd5 (このIDを非表示/違反報告)
峰(プロフ) - ぴくぴくさん» あざます！！、！！ (2022年2月10日 20時) (レス) @page5 id: 474e369faf (このIDを非表示/違反報告)
ぴくぴく - お星様がシャオちゃんに!おめでとうございます! (2022年2月7日 19時) (レス) id: 037e0dd5e7 (このIDを非表示/違反報告)
峰(プロフ) - ぴくぴくさん» ありがとうございます〜〜！！ (2022年2月7日 8時) (レス) @page6 id: 474e369faf (このIDを非表示/違反報告)
ぴくぴく - あぁこれもやはり面白いですぅぅぅ更新気ままにしていって下さいね〜 (2022年1月23日 19時) (レス) @page6 id: ab035b58e5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：峰 | 作成日時：2022年1月11日 23時
