⚫用意されていたトランク ページ25
「ﾋｸｯ…うぅ、ｯ…ん、…ﾝ…おにい、ちゃん…？」
体を揺さぶると、小さな少女は目を覚ました。
目尻の下に伝った涙を拭わないで、その場で上半身を起こす。
ぽふり、と髪を撫でて「兄ちゃんやで？」と言うとAは目を見開いて、きゅうとゾムに抱きついた。
zm「!!こ、怖かったよ、な？？ごめんな、兄ちゃんがあん時ｯｯ…」
妹に抱き着かれるときゅううんｯｯと胸が痛くなる。口元を手の甲で覆いながら、片方の手でAの背中に手を回すと早口で言った。
嬉しさのあまり、興奮することを抑えつつ紅潮する顔を隠す。
手の甲だけじゃ隠しきれていないものの、Aにはその表情を見られていないから大丈夫だ。
「ううん、ぜんぜんこわくなかったよ！…おねえさんはやさしかったの！……ねぇ、おにいちゃん。ろぼろは？｣
はぁ…っと吐息混じりに息を吐く。
そして、何とか興奮を抑えるとふぅと息を着いてAの話を聞き、安心させるように頭を撫でながら呟いた。
zm「ロボロは先に行って俺らを待っとるんよ」
「そうなの？」
zm「だから、早くここから出ようや。…ロボロが待っとるからさ」
きゅう、と抱きついたAを膝の上に乗せながら背中をポンポンと軽く叩く。
居心地が良さそうに、目をとろりとさせる妹にグッと何かがきたが今は行こう、と促した。
ゾムは一刻も早くここから出たかった。
ここじゃ、Aといてもあの女に監視をされているような視線を感じるからだ。
「うん……あ、みて！」
zm「……ｯこれ…」
妹が自分の膝から退き、ベットの左側に置いてある三つほどのトランクを見せたA。
どうだ！と言った感じで見せたもので、ゾムは「可愛ええなぁ」と思いながら、その姿を見て目を開いた。
高そうなトランクのそばにいき、妹は何を思ったのかそのトランクを開く。
「これがね、おにいちゃんとろぼろの服でしょ？それで、これには……」
そのトランクには色んなものが入っていた。
もしかして、これは。
「あのね、おねえさんがよういしてくれたんだよ。」
にひ、と歯を見せて笑ったAを見て「用意してもらったん？」と聞けばこくんと頷く少女。
その動作さえも可愛いと思ったがそんなことじゃない。
あのおばさんが？
「それでね、いくばしょはわからないけどいくとしたら、えぬこくがいいわよっていってたよ」
その国は俺が行こうとしてた国だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 291人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鴉 - ゾムさんの妹愛が凄くて好きです。 (2022年1月23日 14時) (
レス) @page27 id: 9e2a714ff1 (このIDを非表示/違反報告)
峰(プロフ) - わみんさん» マジです!!!え、本当ですか！？いや、普通に様はつけますよ…（？）ああああ、そう言っていただけると自信が着きます!!今後も気長に更新していきたいと思いますので、よろしくお願いします!!! (2022年1月8日 22時) (レス) id: 474e369faf (このIDを非表示/違反報告)
わみん(プロフ) - 峰さん» ｴ！マジですか…！読んでいただきありがとうございます…！（様なんてゆわれたの初めてだ…ﾋﾞｯｸﾘ）文章もしっかりされていてとても面白いです！続編の方も楽しく読ませて頂きました。応援しています！ (2022年1月8日 22時) (レス) id: c5829a7627 (このIDを非表示/違反報告)
峰(プロフ) - ちょ、え！？（困惑）わみん様の作品を見させてもらっています。応援の言葉は主にとって元気付けのようなもので。ご期待に添えるよう頑張ります。それと、この小説は事情で編集出来なくなった故、新しく小説を作りましたので、プロフから飛んでもらえればなと思います。 (2022年1月8日 21時) (レス) id: 474e369faf (このIDを非表示/違反報告)
わみん(プロフ) - こうゆう兄弟愛…めっっちゃ好きです…！自分ではこうゆう感じのが書けないので尊敬です…！これからも無理せず更新頑張ってください！ (2022年1月8日 21時) (レス) @page27 id: c5829a7627 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：峰 | 作成日時：2022年1月4日 23時
