"通称"御幸の彼女兼愛されマネージャー【御幸一也】

第十八話 ページ23

『紅白戦...ですか？』



急遽入った午後の予定に、私達は顔を見合わせる。



｢えぇ。戦力になりそうな選手はどんどん上に上げようっていう片岡監督と落合コーチの考えでね｣

『...なるほど』



昨日のミーティングで背番号が一旦白紙になった今、主力メンバー以外にとっては絶好のアピールチャンス。

一年生にとっても、試合内容によっては上級生達に仲間入りできる可能性がある。


例年通り圧倒的な差が付きそうだが、今年の一年生は少し面白そうだ。

特に、よく一也が睨まれると言っていた捕手の奥村光舟。

多少のピンチでも動じなさそうな冷静な性格をしているので、投手をどうリードするのか気になる。



｢今年はどうなるかなー｣

｢みんなベンチ入り目指して気合い入ってるもんね｣



試合の準備に取り掛かりながらアップをしている選手たちを見やる。

ベンチ入りを狙うのはどこの高校も同じだが、メンバー外の選手...特に三年に一年を威圧する程の気合いが入るのは、私立の強豪校特有のチーム分けがあるからだ。


ベンチ入りメンバーの一軍、練習試合に出られる機会が増える二軍。

今から紅白戦をするのは二軍の選手達だが、夏の大会までに一軍に入れなければ、三年の場合事実上の引退宣告となる。


一年生という未成熟な選手が相手であろうと、手加減なしどころか寧ろ自分のアピールには格好の的だ。


たかが紅白戦、されど紅白戦。

今日戦う部員の中から、一体誰が一軍まで這い上がって来るのだろうか。

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