腐男子は見るだけで結構です【オリBL】

42。 ページ43

．





「まあ、そのつもりだったんだけど、想像以上に君や同級生の銀髪くんが邪魔をしてきて、本当に困っちゃうよ」

「……意外と、マシな理由だったんだな」






酷いなぁと笑う秋川。

春宮はすっかり素の口調に戻り、彼の話に驚いている様子だ。


秋川は、自分の昔の姿に呆れるように笑いながら語っていた。








「まあ、これで分かったように、俺は君たちとは彼を想っている長さも、重さも、違うんだよ」

「……だから、俺はこいつのことどうでもいいっつーの！」

「相変わらず、素直にならないな」








中学から高校まで追っかけてきて、Aを思っているのは誰でもない秋川だ。


しかし、秋川とAは学年の差により、まだ距離としては1番遠い。








「手に入れたいものに、俺は誰かを犠牲にすることはしたくない。だからといって、明菜があまりにも邪魔をしたら、どうなるか分かるよね？」

「そんなに、大事なら何で雨の中Aを置いていったままなんだよ」








すると、ギクッと珍しく嫌そうな顔をする秋川。


本当は早くから行きたかったのに、女が諦めず付きまとってきたり、周りの男までも邪魔をしてきたり。

かなり散々な目にあったようだ。



おまけに、春宮がAを連れるところを見て、体が動かなかった。

本気で、ここまでして手に入らないことが初めてで、どうしようかと思考回路が止まったらしい。


しかし、春宮の家に全力で走ったらちゃんとAがいて安心した、とか。




でも、このパニックになったことを秋川は言わなかった。かっこ悪いところを見せたくないのは彼の主義だ。








「まあ、邪魔をあまりしないで、ね？」

「上等だよ。嫌なほどしてやるよ」









．

43。→←41。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す