腐男子は見るだけで結構です【オリBL】

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『……死にたい』








電車の中、一人呟く。
その声はいつもより遥かに暗い。





なんだよ、昨日の。




春宮が俺の事好き？





嘘だろ。
俺は現実を知ってる腐男子だ。だから、春宮がそもそも男を好きじゃないと分かってる。


それなのに、俺のことが好き、だと………？







まあ、春宮が男が好きなゲイだとしても普通は秋川先輩を好きになるだろ。



あんなにベタベタくっついて、「先輩」って甘い声で言ってるくせに。

ニコニコ笑顔で抱きついてるくせに。






そのくせ、俺が好きだとかあり得ない。

そもそもあんまり関わってなかったし、だいたいいつも俺が一方的に見てるだけだし。









「あっ、Aおはよー」

『秋川先輩……！！』









天使が降臨した。


やばい。昨日の春宮デビルを見た後だからか、秋川先輩が尚更、神に見える。後ろから光が出てるような感じ。









「元気がないけどどうしたの？」

『あー…ちょっと昨日いろいろあって』

「へぇ、誰かに何かされたの？」









いや、先輩には言えない。

だって、あなたの彼氏が浮気しようとしてるなんて普通言えないだろ。









『秋川先輩は何も関係ないので気を使わなくても大丈夫っす』

「………そっか。俺、Aが辛くならないようにすることもできないダメな先輩でごめんな」









いや、そんなに悲しむなよ………。かわいいなおい。



どうしよう。俺だって先輩にこんな悲しい顔をさせたくない。

だけど、『昨日春宮にキスされたんです〜』なんて口が裂けても言えねえ！！









『ご、ゴキブリが、朝、顔の上でう○こして、 だからちょっと、気分悪くて』









……いや、俺何言ってんだよ！！

朝っぱらから下品なことばっか言ってんじゃねーか！！
嘘でももうちょっとマシなのあるだろ！



秋川先輩は、少し驚いた顔をして黙ってしまった。

うわ俺嫌われる…。









「そっか。それは災難だったな…」









俺は見た。



明らかに引いた顔で引きつった笑顔で言った先輩の姿を。







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