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授賞式リハーサルを、遠巻きから見つめる。この業界で働いてるとは言え、やっぱりここまで豪華な芸能人が集まると、圧倒されちゃう…。
二宮さんは、楽しそうに監督や南さんと談笑してる。
「今日で、最後か」
私の隣で笹沢さんがボソリと呟いた。
『はい』
「Aちゃんには、感謝しても、しきれないな」
『…感謝されることなんか、』
「デスクから、Aちゃんを選んでよかった。俺はそう思ってる。たぶん、嵐の現場マネ全員、メンバーも、もちろん二宮も。みんな、心からそう思ってる」
だめ、ここで泣いたらせっかくのメイクが落ちちゃう、
『私もです、笹沢さん。
私を現場に連れてきてくれて、ありがとうございました。
人生で、最高の時間でした』
「…ふっ、まだ、これからだろ」
笹沢さんが、二宮さんをみて、そう呟いた。
二宮さんはありえないよ、って笑うけど。
私も、笹沢さんも、みんな、心から信じてる。
−−−−−
リハーサルもおわり、控え室に戻ると、妙に緊張してきた。
あぁ、どうしようどうしよう。えーっと、二宮さんを送り出したら、まず私は裏通路を通って…。
「なんで俺よりアナタが緊張してんの」
『むしろ緊張しない二宮さんがすごすぎるんです！』
「はい、じゃあ、緊張しないおまじない」
二宮さんが、椅子から立ち上がると、
私の目の前に、跪いた。
私の右手をとって、手の甲にそっと口付ける。
『あ、な、なに、を…』
「くふっ、手汗ヤバイでしょ」
『だから、き、緊張してるって…！』
「大丈夫、ね？
最後の日、最高にしないと」
立ち上がった二宮さんは、私の背後に回ると首筋をそっと撫でた。
ひんやりと、小さいなにかが首元にあたる。
「はい、コレは俺からのプレゼント」
肩を持たれて、くるりと鏡の方を向かせられる。
鎖骨の間に、ちいさな黄色いダイヤが光る。
「俺の色〜」
つん、とそのダイヤを二宮さんが突いた。
「退職祝い、っていってもね、俺的にはお祝いしたくないから、そうね、いままでお疲れ様ってことで、」
このドレスに似合うものを、たぶん、探してくれたんだと思う。
自分で言うのもおかしいけど、とても今日の自分に似合ってる。
「着物より安いけど、でも南の旦那より、俺のほうが凄いもんね。ま、言わないけど」
鏡越しに私に微笑んだ和也さんは、いままでのどんなときよりも私の胸をときめかせるくらいに、優しい微笑みをくれた。
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作成日時：2017年5月29日 15時
