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店員さんがまた裏に戻ると、なぜか和也さんは不満そうな顔で私の肩を突いた。
「さっきの色でいいじゃん」
『派手すぎるよ』
「派手じゃなかったでしょ別に」
『マネージャーがあんな明るい色着れません』
「…俺の色なのに」
俺の色…？あ、黄色か、っていやいや、あれ薄いクリーム色だったし。
マネージャーとかスタッフは普通に黒かネイビーじゃないと。
『あれはクリーム色です』
「…つーかさっきから敬語に戻ってる。
次は絶対俺の色着せてやるからな」
敬語に戻ったことを不満に思ってるのか、クリーム色を却下したことに不満に思っているのか、よくわからないけど、和也さんはつまらなそうにテクテクと店内を歩き始めた。というか、次ってなに…。
他のところもちらりとみつつ、高級感に溢れる陳列された服たちに圧倒されていると、店員さんが戻ってきた。
「こちら、ご試着されますか？」
『あっ、はい』
「えーっと、お連れ様は…」
『あー、いいですいいです、』
「ふふっ、せっかく選んでくださったんですし、お見せしたほうがいいですよ」
『や、恥ずかしいんで…』
「そうですか、ふふふっ」
店員さんの意味深な微笑みに若干の恥ずかしさを覚えつつ、試着室に入る。
カーテンの向こうに、影が見えた。
「お客様、サイズはいかがですかぁ」
『…ぴったり、です』
「是非、私にも見せてくださぁい」
『…やだ』
「なんでよ、見せろや、もう着てんだろ」
『あっ、ちょ、』
和也さんが容赦なくカーテンをあけた。もう、着替えてる途中だったらどうするつもりなの…！
カーテンをあけて、じっと私をみつめる和也さん。
『な、なんか言って…』
「いーじゃん、似合ってる」
「わ、お客様、お似合いですね！さすが、彼氏さんの見立てが良かったみたいです」
本物の店員さんもやってきて、なんか、褒められて、は、は…恥ずかしい…。
「ですよね〜、俺も思います」なんて和也さんもそれに乗っかる。
『えっと、これで、お願いします…』
「かしこまりました、では裏から新しいもの持ってきて袋にお入れいたしますね！あとでレジの方までお願い致します」
「はーい、ほら、はい、それ脱いで」
店員さんの言葉になぜか和也さんが答えると、ぐいぐいと試着室に押し戻された。
「あ、お客様、私が手伝いましょーか？」
『間に合ってますっ』
「まぁまぁそう言わずに後ろのファスナーとか」
『自分で届くってば、ちょ、あっ！』
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作成日時：2017年5月29日 15時
