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「最近、なにやってんの？」
「なにって、仕事してる」
「そうじゃなくてさぁ」
「んー、ヨガもやめちゃったし…」
「ふぅん、あんなにハマってたのに」
「しいて言うなら料理かな。最近休みの日は凝ったの作るようにしてるの。あ、そうそう、和食作るようになったの！」
「んふっ、年だね、年」
「んもー！同じだけ自分だって年取ってるくせに！」
「いたっ、おま、叩くなや(笑)」
めちゃくちゃ微笑ましい会話が耳元からダイレクトに聞こえてくる…。
2人の楽しそうな笑い声。モニターには柔らかい日差しの下で顔を見合わせて楽しそうにしているありふれたカップルが映し出されている。
「そっちはどうせ相変わらずなんでしょ？ゲームゲームゲームゲーム、寝ても覚めてもゲーム」
「当たり前でしょ」
「当たり前の意味がわからない」
「なんだってぇ？」
「あっ、いったーい！暴力！」
「お前もさっきやったからお返しですぅ」
えっ、これまだカットかからないの…？ちらりと監督をみたらまるで孫を見るような目で微笑みながらモニターをみてる。ちょ、和んじゃってる！！
よくよく周りをみたらスタッフみんな和んでる。え〜…。
「ね、ほら、みて、あれ、雲がすごいよ」
「あ〜、ほんとだ、あれラピュタあるな」
「言うと思った、昔と言うこと変わらなすぎ」
「ふはっ、成長してないって？」
「うん」
「うるせーよ」
彼女の指差した方向を見て笑い合う2人。監督が「お、いい画だ」と呟いた。お似合いだ。ほんと、いい画。お似合い。
そのあとすぐに監督の「カット！」がかかった。
日傘を持って私と滝下さんのマネージャーが2人の元へ駆け寄る。
「ありがとう、お水もほしいな」
「はい、向こうに常温のもの用意してもらってますんで」
「はぁ〜い」
滝下さんは優雅にテントの方へと向かっていった。
「別に俺に日傘なんていらないんだけどね」
滝下さんをぼんやり見ていたら、二宮さんの声が近くに聞こえた。私の手元にある傘をさらりと取って、私の上に差した。
「どっちかっつーと、真っ白のあなたの上に必要に思えるね」
さっき、滝下さんと繋いでいた手が、私の右手の上に重なってる。
どうして、胸がざわつくんだろう。
「色白の二宮さんにその言葉そっくりそのままお返ししますよっ」
日傘を奪い取って二宮さんの上に改めて差すと、二宮さんは「なに機嫌悪くなってんのよ」と、どこか嬉しそうに笑った。
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作成日時：2017年5月29日 15時
