【K.N】想い出の作り方 part2【移行】 (ページ1)

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小さく息を吐いて、二宮さんの部屋の鍵を開けた。
一応、3コールくらい鳴らしてみたものの電話に出てはくれなかったから、おそらくグッスリ眠っているのだろう。ツムギのことだから、流石に二日酔いにならない程度にはしてたと思うんだけど…

『二宮さん、おはようございます』

寝室に入る前に声をかける。けどなにも音が聞こえない。

『失礼しまーす…』

ゆっくりと部屋に入ると、ちょうどこっちを向いてぐっすりと眠る二宮さんの寝顔が見えた。左手にスマホを持っている。

またゲームしながら寝落ちしたな…？

全くこの子は！相変わらずゲームばっかり！なんて1人心の中で母親ごっこをしながら寝室のカーテンを勢い良く開けた。眩しい陽の光に気付いたのか「んん…」と二宮さんが声を出した。

『二宮さん、起きてください』

軽くトントン、と肩を叩くとゆっくりと瞼が開いて、綺麗な茶色の瞳が私を確認して、そのあとにキョロキョロと辺りを見渡した。そのままゆっくりと瞼が閉じて……っておい！

『ちょっ、え、今起きましたよね！？なにナチュラルに二度寝しようとしてるんですか！？』

「うっさい…なに…」

『いや、なにじゃなくてですね、昨日メールしたと思うんですけど』

「んーー……」

『だから寝ないでくださいってばー』

さっきより強めに身体を揺らしたら、ふぅ～ん…とか、うあ～…とか、よくわからない声を上げながらのそのそと二宮さんがベッドから降りてくれた。わぁ、相変わらず芸術的な寝癖…

「ちょっとまって、目ぇ覚ますから」

そう言い残して、洗面台へとゆっくり歩いていった。

すると急になぜだか緊張してきた。

あっ、どうしよう、私、そうだ、あの話しにきたんだった…話せるかな。いや話さなきゃいけないんだよね…でも…あぁどうしよう！！！

二宮さん、どんな顔、するんだろう。

どうなるわけでもないのに、辺りを見渡してしまう。あーどうしよう、どうしよう。まず私はなんでこんなに緊張しているんだろう！！！

そのとき、ふと、本やDVD、CDやゲームソフト、色々なものが並べてある棚の下段の隅に、不自然に立てかけられた何かを見つけた。

どうして人は、見ないほうが良いものだとわかっているくせに、自分の頭が警告を鳴らしていると気付いているのに、それを無視して興味を優先してしまうのか。

そこには、今よりずっと昔の二宮さんと、女優の滝下南が、

ただ幸せそうに寄り添う写真があった。

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