１７ [N side] ページ18
17.
なんか、寝れなかった。
休まなきゃいけないって分かってる。久しぶりの半休なのに。ゲームを立ち上げても、全然進まなくて、ただボーっと、大げさな笑い声が聞こえるバラエティ番組が流れるテレビの画面を見つめてた。
「はよざいまーす」
楽屋に入ってきた俺の目元のクマを見て、ささやんは呆れた顔で「メイクしてこい」って隣の部屋を指差した。
朝起きて、メールをみて。
アイツが今日は午前は休むってこと、午前の雑誌取材はささやんが俺につくってこと、取材現場まではささやんが迎えにこれないらしくて、タクシーでひとりで向かえってこと。理解しようとしてるのに寝れてない頭にうまく入ってこなくて。
嘘。ホントは全部、薄々、そうなりそうな気はしてた。
スマホをベッドの隅に投げたら、滑って、ゴトン！って床に落ちた。
あー、なにやってんだろ、俺。
「せっかくの半休を台無しにしたことだけはよーく伝わったよ」
「別に取材の受け答えで変なこと言ってないでしょ、俺」
「言ってないけど写真撮影以外のときの目つきが悪すぎたわ馬鹿野郎。2番目の取材のカメアシしてた女の子泣きそうになってたぞ、お前は目で女子を殺 す気かよ」
「ちょっと昨日のボス戦が、」
「嘘つけ、寝てないのはわかるけどゲームじゃないだろその顔」
流石って言っていいのか、分かんないけど。やっぱりささやんにはバレてんのね。そんなに俺の芝居下手？おかしいな、ジャニーズでは演技が上手いって言われる方なんですどね。一応ハリウッドにも、
「お前、Aに何したんだ」
「…は、何の話」
「はぁ…、別に詮索する気もないが、もし、自分に非があるって思うなら、ちゃんと謝れ。それが、仕事をする上でのルールだ。たとえお前がAを毛嫌いしたとしてもだ」
ささやんはいつだって、俺に、そして嵐に、大人として社会人として当たり前のことを真正面から言ってくれる。わかってても、出来てないこと。わかってても、わかってなかったこと。当たり前のことでも、こうして口にして、思いやりを持って、言ってくれてるのを知ってるから、俺らは絶大な信頼をおいてる。
「あぁ、嫌いじゃなくて、好きなんだとしたら、なおさら、謝るべきだけどな」
ねぇ、ささやん。
俺、結構アイツのこと信じてみようって思えてたんだ。だからたぶん、あんな変なことしたんだ。でもきっとそのせいで、アイツは俺を信じてくれなくなるんだろうね。
俺、ちゃんと謝れんのかな。
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作成日時：2016年4月25日 20時
