空港とピアノ ページ29
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私は音楽にさほど触れたことがないため、
何の曲かは分からない。
けれど、彼の演奏が素晴らしく、
観客を盛り上がらせるには十分だとだけわかった。
曲が終わると、ピアノの彼は大きな拍手に包まれた。
『わはは！いつの間に人が来たんだ？』
『いいな、音楽は！フランス語が喋れなくても、気持ちを分かり合える！』
『うんうん！そうだよな☆分かるぞ〜！』
何やら上機嫌らしい、
彼は日本語で周りに話しかけている。
日本語……？ もしかして、、
｢宗の、、、？｣
いやいや、、フランス ましてやパリは観光地なんだから、日本人もいるよね。
もしそうだったとしても、
今この空間で話しかけられるほど知り合いでもないし、
……というか知らない人だ。
そうモヤモヤと本来の目的を忘れて考え込んでいると、
『はぁ？！ ちょっと居なくなったと思ったら、なんで人だかりの中でピアノ弾いてるわけ？』
日本語の怒号(?)が聞こえた。
『はぁ…ちょっとぉ、れおくん!』
人だかりをぬって出てきた声の主は姿勢がよく、スラリとしたシルエットで、
髪色はライトグレーのように見える。
れおくん(?)と呼ばれる、ピアノを弾いていた彼は、平然としている。
『あ、セナ！どこに行ってたんだ〜？』
『どこかに行ったのはそっちでしょぉ?!』
セナ(?)と呼ばれた彼はそういうや否や、
ピアノの彼の首根っこを掴んで、ピアノから離れていった。
｢あ、宗たちを探さなきゃだ｣
私もこうしている場合ではないと、ピアノがあった場所から離れ、探そうと周りに目を配った。
すると、人混みの中から斎宮宗を見つけた。
彼に向かって、人混みをかき分けながら進んでいると、
どうやら誰かと話しているようだ。
相手は彼が言っていた友人だろうか。
あともう少しで着くというところで、
宗が立ち上がって出口の方へと向かおうとし始めた。
｢宗！｣
どこかへ行ってしまうわけでもないのに、
なんだか焦燥感に駆られて、大声で彼の名を呼んでしまった。
彼の動きが止まり、
私の声に反応するようにゆっくりとこちらに振り向いた。
彼の目は大きく開かれ、私を見つけた。
そして、私はやっと彼の元へと着いたのだった。
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蒼也souya(プロフ) - ふわなさん» 感想ありがとうございます。本当に更新してなくてすいません。褒めていただけて嬉しいです！精進していきます…！ (4月5日 18時) (
レス) id: 2dcf8a9402 (このIDを非表示/違反報告)
ふわな(プロフ) - コメント失礼します！言葉選びや表現の仕方が綺麗ですごく素敵です！作者様の無理のない頻度での更新お待ちしてます。 (12月13日 20時) (レス) id: 58ec19c369 (このIDを非表示/違反報告)
蒼也souya(プロフ) - 浪越柊羽さん» 感想ありがとうございます！嬉しいです。優しいお言葉に小躍りしてしまいました。頑張りたいと思います！ (8月27日 6時) (レス) id: 2dcf8a9402 (このIDを非表示/違反報告)
浪越柊羽(プロフ) - 今まで数多くの作品を読んできた中で、この作品が一番のお気に入りです！時間も忘れて何度も読み返してしまいます、、！更新が楽しみです、気長に待っていますね…！ (8月21日 18時) (レス) id: f394f39020 (このIDを非表示/違反報告)
蒼也souya(プロフ) - 星さん» ご感想ありがとうございます！嬉しいです！本当に更新遅くてすいません。本当に申し訳ないです。待っていただけることが何よりもありがたいです！頑張ります！ (2023年3月13日 0時) (レス) id: 34086f5d07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼也(souya) | 作成日時：2021年9月30日 0時
