No.9 ページ10
「今指名手配されている…ポートマフィア幹部、織田A。情報によると…」
「氷と炎と水を自由に操れる異能。迂闊に近づかない方がいいねぇ」
「なっ、太宰貴様知っているのか!?」
場所は武装探偵社会議室。
今まさに巷を騒がせているAについてだった。
「私の従者だったからね。それはそれは可愛い子で…」
「でも私には中也がいるからなぁ」
「そうなのだよねぇ。って事で私と付き合う気ない?A」
「えーない」
「………はぁぁぁぁぁ!?」
国木田と敦の絶叫、身構える賢治と与謝野と谷崎、眠そうに駄菓子を食べる乱歩、そして…。
気配もなく突然現れたA、口説く太宰。
一言でその状況を表すとすれば、そう、カオス。
「あ、こんにちは〜織田Aです。今日は太宰君に書類を届けに来ました」
「そうなの?わざわざ悪いねぇA」
「首領から。破って捨てたら怒るからね」
「Aから貰った物なら捨てないよ。読むの面倒だけどね」
恐ろしい程に普通に溶け込んできたA。
国木田は嫌な汗が背中を伝うのを感じながらも拳銃に手を伸ばすのだが…
「なっ!?」
手が動かないのだ。
それは勿論…
「私の異能力の一つ、氷を自由に操れる…って知ってますよね。だから私には銃弾なんて通じません」
「A凄いねぇ。異能の精度上がった?」
「それ中也にも言われた。少しずつ慣れてきたのかも」
Aは氷で動けない国木田を見て悪戯っぽい笑みを浮かべると、再び異能力を発動させた。
今度は国木田の頭上から。
しかも温水。
「あ、氷溶けたみたいですね。良かった良かった」
「…貴様…よっぽど死にたいようだな…?」
水浸しになった国木田に笑い転げている太宰と相変わらずニコニコしているA。
国木田のこめかみがぴくぴく動いているのも当然だろう。
「それじゃあ私はこの辺で。太宰君、首領が幹部の席は空けておくよって言ってたー」
「じゃあAの荷物置き場にしといてって伝えて」
「あはは、分かった」
「おいこら織田ァ!!待て!!! 」
国木田の絶叫も虚しく、Aは窓から身軽に飛び降りた。
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作者名:朔 | 作成日時:2019年7月16日 15時