No.5 ページ6
場所は変わり、ヨコハマのとある高級マンション…もとい中也の自宅。
Aたちは同棲状態にあったのだ。
「…中也?」
「…んー?」
「今日はいつにも増して甘えたな日だね。可愛い」
「男に向かって可愛いはねェだろ」
「事実だもん」
「うっせェほっとけ。…おい、離れんなって…」
そんなこんなでソファーに座ってテレビを見ていたところを後ろからガッチリとホールドされたA。
中也はAのサラサラな髪を弄りながら肩に顔を埋めたりと、とにかくAの母性本能をくすぐるような事ばかりをしていた。
「ご飯作らないと」
「充電中。今10%」
「急速充電にしてよ」
「あいにく回路が故障中だ。久しぶりの充電すぎてな」
「…もう、中也は屁理屈ばっかり」
「事実だろ」
しょうがないので中也の体に完全に寄りかかることにする。
程よい暖かさが心地いい。
「中也がいない間大変だったんだよ?毎日任務の嵐で部屋まで狙撃されるし…」
「あァ!?大丈夫だったのかよ」
「よゆー。射線バレバレなんだもん」
「…ちっ、あーくそっ!!」
「え!?」
突然大声を出したかと思えば、さらにキツく抱きしめてくる中也。
いきなりの行動に驚いてしまった。
「…彼女が敵に狙われてるってのに、守ってやれないとかダサすぎだろ…」
背中に顔を押し付け、小声で。
Aはそれが可愛いやら愛おしいやらで、緩みきった頬を隠すことも無く、中也と向かい合わせになるように反転する。
そして真正面から中也の男性らしくしっかりとした体に抱きついた。
「…んふふ、中也可愛い」
「太宰の木偶と同じ笑い方すんじゃねェ雑魚。襲うぞ」
「えっ。太宰君になんてしばらく会ってないのになぁ」
「だから太宰の話をすんじゃねェよ。つーか俺以外の男の話すんじゃねェ」
「はいはい。私は中也一筋5年目だよ」
中也とAが付き合い始めたのはちょうど5年前。
つまり17歳の時だ。
「…そーだ。明日午前だけ休みとったからさ、作之助のお墓参り行かない?」
「もちろん。悪ィな、しばらく行けなくて」
「ううん、中也は欧州で頑張ってますーって、報告しておいたから」
「そうか。…もうあれから5年か」
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作者名:朔 | 作成日時:2019年7月16日 15時