・ ページ9
「私の質問には答えてもらってないんだけど？」
「その場所で話す。殺したりせぇへんから安心しろ」
別に殺されることに不安は覚えてないんだけど…
そんな表情を見せると、ゾムは首を傾げる。
「なんや」
「……別に。いいよ、場所は？」
大きなため息をつくと、ゾムはソファに座り直し背もたれに背中を預ける。
「貧民街の地下にある隠れ家」
隠れ家と聞き、Aはゴホッと咽せながらマグカップを置く。
「ゲホッゲホッ…ゾムッ…何から逃げてるの！？」
「今答える気はない。お前やって言わへんことあるんやろ？なら俺やって言わへんよ」
正論を言われ、口をギュッと結ぶ。
Aは「分かったよ…」とため息混じりに答えるとゾムは「んっ」と壊れた足を差し出す。
「明日の朝から行く。せやから今、直して」
「…………」
これで自我を自覚していないとは…
口元を引き攣らせながら、Aは言われるがまま修理を始めた。
・・・
早朝。
Aは2階にある自室に、ゾムは下の事務所で一晩を過ごした。
ゾムが階段を駆け上がってきた音に気が付き、Aは身体を起こす。
「朝っぱらから…！」
バンっとノックも無しに扉が開く。
そのまま窓際の壁に張り付くと警戒するように外を覗いていた。
「何…？」
「俺を追いかけてきた奴が外におる」
2階の窓から見下ろすように外を見る。
人通りのない早朝にも関わらず、Aの自警団事務所がある通りには確かに男がふたり歩いていた。
ただし、Aはその男たちが着ている服に見覚えがあった。
「何をどうしたら軍に追われるの…」
はぁっと頭を抱えるA。
それからすぐに、ブーっと事務所のチャイムが鳴る。
押しているのはやはり軍人で、ゾムは隠し持っているナイフを取り出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 693人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しゃぴ - がんばって (8月31日 17時) (
レス) @page3 id: 70ecd8a4b0 (このIDを非表示/違反報告)
味鈴(プロフ) - まる麺さん» まる麺さん 喫茶の店主ポジですね…！私もお気に入りですありがとうございます！ (7月26日 19時) (レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
まる麺 - emさんのお話の中での立ち位置が似合いすぎて好きです！！ (7月26日 0時) (レス) @page32 id: 81fa0833c9 (このIDを非表示/違反報告)
味鈴(プロフ) - ノットラインさん» ノットラインさん ありがとうございます！マイペースに頑張りたいと思います…！ (7月23日 22時) (レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
ノットライン(プロフ) - めちゃくちゃ面白くて更新楽しみにしています！！主様のペースで更新頑張ってください！！ (7月23日 2時) (レス) @page25 id: ef443ece5c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：味鈴
| 作成日時：2023年7月15日 18時
