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「あんたの…いや、Aの声、ずっと聞こえとったよ。修理中ずっと声掛けてくれとったな…ありがとう。俺は、Aのおかげで今『生きてるよ』」
トントンの中で何かが溶けていく。
言語化できないこの思いは、自分に自我があって『生きている』という証明だ。
Aは大きく目を見開き、そして再び泣きそうな顔をしながら笑う。
(ねぇ、グルッペン)
この生き方は正しい？
貴方を救えなかった私に、罪滅ぼしの機会を与えてくれたの？
Aはトントンの手を両手で握ると「私こそありがとう」と小さく、消え入りそうな声で呟く。
トントンはただ黙って、優しくAの手を握り返した。
・・・
「家に戻るね」
治療が終わったのは夜中。
Aが目覚めたのは次の日の朝6時半頃だった。
赤燃料をマグカップで飲んでいる大先生はコトリとそれを台の上に置くと、Aの目の前までやってくる。
「もうお別れ？会えへんの？」
眉を下げ、寂しそうな表情を浮かべる大先生。
Aはちらりとゾムの方を見る。
彼と、本当にたまたま出会っただけ。
怪我人ならば手当てをしようと向かい、そこにいたのが人間ではなくアンドロイドだった。
ただそれだけ。
トントンも無事に治療が終わり今、Aがここに留まる理由はない。
「身体の事で困ったらまた来て」
「困ってないと行ったらあかんの…？」
コテっと首を傾けながらそう言う大先生にAは「うっ」と言葉に詰まる。
何度も言うが、アンドロイドというのは人間に好感を持ってもらえるよう、顔が良く作られている。
人間に身体を奉仕する専用のアンドロイドもいるぐらいだ。
自我を持ち、自分の顔がいいと自覚しているであろう大先生のあざとい行動に胸を押さえた。
「訂正するよ。いつでも遊びに来て。来るの大変かもしれないけど、歓迎するよ」
「Aちゃんは優しいなぁ。ありがとう」
一歩踏み出し、そのままAを抱きしめる。
気恥ずかしそうに抱きしめ返したAだったが、その表情は安堵に満ちた顔をしていた。
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しゃぴ - がんばって (8月31日 17時) (
レス) @page3 id: 70ecd8a4b0 (このIDを非表示/違反報告)
味鈴(プロフ) - まる麺さん» まる麺さん 喫茶の店主ポジですね…！私もお気に入りですありがとうございます！ (7月26日 19時) (レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
まる麺 - emさんのお話の中での立ち位置が似合いすぎて好きです！！ (7月26日 0時) (レス) @page32 id: 81fa0833c9 (このIDを非表示/違反報告)
味鈴(プロフ) - ノットラインさん» ノットラインさん ありがとうございます！マイペースに頑張りたいと思います…！ (7月23日 22時) (レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
ノットライン(プロフ) - めちゃくちゃ面白くて更新楽しみにしています！！主様のペースで更新頑張ってください！！ (7月23日 2時) (レス) @page25 id: ef443ece5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味鈴
| 作成日時：2023年7月15日 18時
