・ ページ2
西暦2XXX年。
大きな戦争が終わって５年の月日が流れた。
ネオンが煌めく街は高いビル群がそびえ立ち、密集するマンモス団地が存在する。
上空にはドローンが飛び荷物が運ばれていたり、所狭しと建物に貼り付けられた看板は自分たちの店を強く主張するように光っていた。
わかりやすく言うのであれば、近未来都市のような…そんな街並みだ。
アンドロイドが戦闘に使われていたということもあり、人々の暮らし自体にはそれほど大きな影響は起きていない。
まぁ物価が上がったりはしたが、アンドロイド法のおかげで路地にある段ボールの数は少しだけ減ったようにも思える。
女はそんな街の大通りを歩いている。
夜の街は多くの人間で賑わっており、この街には外国人観光客も多かった。
「A！ご飯食べて行ってよ！」
露店からひょこっと顔を出した店主に片手を上げ「また行く」とにっこり微笑む。
女は様々な店の人から声をかけられており、顔の広い人物であった。
当然と言えばそうだろう。
彼女はこの街で自警団をしている。
団、と言っても活動しているのはAひとりだ。
戦争が終わったとはいえまだまだ治安の悪いこの街では、穏やかに暮らしたいと願う人々を悪人から守る必要があるのだ。
「Aさーん！」
街を歩いていると馴染みの定食屋の娘が前から走ってきた。
その様子は慌てており、息を切らしながらAの前で止まる。
「どうしたの？」
肩に手を置き、落ち着くように促す。
女はすぅーっと大きく息を吸うと大きな瞳でAをじっと見つめた。
「うちの店の隣の路地で、血塗れの人が倒れてるの！さっき大きな音が聞こえたから勝手口から覗いたんだけど…多分喧嘩の後だと思うんだ…怖くて」
「わかった。私が対応するよ。あなたは店の中に戻って。常連さんが寂しいって泣くわ」
そう伝えると「Aさんが見回る時間でよかった」とホッとした表情を浮かべる。
店の前まで一緒に行き、看板娘である女が店の中に入ったのを確認すると、スッと表情を変え路地に視線を向ける。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 693人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しゃぴ - がんばって (8月31日 17時) (
レス) @page3 id: 70ecd8a4b0 (このIDを非表示/違反報告)
味鈴(プロフ) - まる麺さん» まる麺さん 喫茶の店主ポジですね…！私もお気に入りですありがとうございます！ (7月26日 19時) (レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
まる麺 - emさんのお話の中での立ち位置が似合いすぎて好きです！！ (7月26日 0時) (レス) @page32 id: 81fa0833c9 (このIDを非表示/違反報告)
味鈴(プロフ) - ノットラインさん» ノットラインさん ありがとうございます！マイペースに頑張りたいと思います…！ (7月23日 22時) (レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
ノットライン(プロフ) - めちゃくちゃ面白くて更新楽しみにしています！！主様のペースで更新頑張ってください！！ (7月23日 2時) (レス) @page25 id: ef443ece5c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：味鈴
| 作成日時：2023年7月15日 18時
