【d!】この神社の神様たち。【番外編】

【if】だいすき【bad end syp】 ページ33

煌めく瞳が好き。

髪を撫でてくれる優しい手が好き。

鈴みたいな笑い声が好き。

花が咲いたみたいな笑顔が…大好きや。




「俺、Aさんが望むものはなんでも用意してあげられますよ？」




にっこりと微笑めばAさんの呼吸は乱れ、震える。

今日はAさんとお別れをする日だった。




「せやから、ずっと一緒におりましょうよ。ね？」




Aさんが力を全て返還し、人の世界へ戻る事を決めた。

俺達は覚醒したし神社にも参拝者が増えた。

もう自分は必要ないだろうと、そう言ったのだ。




「人の世界で、どうやって生きてくんです？誰も愛せないのに？愛されないのに？ここにおれば俺が愛してあげられるやないですか。何が不満なんです？」




Aさんは人に関心がない。

なのに何故、わざわざ人の世に戻る道を選んだ？

Aさんがいないなら、この命すらいらへんのに。




「それでも…私は人だから…人の世で生きるのが…正しいのかなって…」

「はぁ、別にええやないですか。正しさ？なんですかそれ。じゃあ人やない俺と過ごすのは正しくない言いたいんですか？」

　


そう問えば、Aさんは首を横に振る。




「ああわかった。Aさん、優しいから覚醒した俺のお荷物にならんようにって思ってくれてます？せやったらそんな心配無いですよ！だって…」

「そんなことは今どうだっていい！」




涙声で叫んだAさんは、血塗れで倒れるチーノを抱きしめている。




ずるいな、俺やってAさんに抱きしめられたいのに。

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