【if】ひとりじめ【bad end kn】 ページ31
人間が特別好きというわけではない。
ゾムのように小さな人間の子供と戯れたり、トントンのように近所の老人達と立ち話することもない。
ただ使命だから人を守っている。
それが生まれた意味だから。
「コネシマさん」
だが、その世界は一変した。
Aと出会って、人に執着した。
世界が輝いて見えた。
こいつさえいれば何もいらない。
そう思うほどに。
Aは今、自室にいる。
正確に言えば今日も自室で眠っている。
「A、入るぞ」
襖を開け部屋に入ると、虚な目をしたAが布団の上で身体を半分起こしていた。
「大丈夫か？無理して起き上がらなくてええんやぞ」
力の覚醒をしたAはその反動で今身体を休めている。
俺はそんなAを甲斐甲斐しく看病している。
コップに入った水を手に持つと、Aの口に当てる。
「ほら、飲めるか？」
「……め…て…」
Aはパンっとコップを手で払った。
コップはゴロンと畳の上に転がり、大きな水シミをつくる。
「何を…飲ませてるの…？コネシマさん…」
「………なんや、思ったより早かったな。気がつくのが」
思ってたよりもずっとずっと賢いAは怯えた瞳で俺を見る。
致し方ない。
だって、こうでもせぇへんと、お前のこと守れへんやろ？
「お前はずっとこの神社におって、安全なところで俺に守られてればええんやで」
回復のためにと飲ませていた薬には意識を朦朧とさせる成分を入れていた。
飲み続けていれば、ずっと混濁した意識の中。
誰かに縋らないと生きていけないはず。
「私は……わたしは…そんなの…！」
薬を自分の口の中に入れ水を含むとAの口に口付けをし、無理矢理流し込んだ。
抵抗するために胸を叩いてくるが、弱った身体では押しのけることさえ叶わない。
「なんで……コネシマ…さん…」
「だって、お前は俺の命やから…大切に大切に守っておかないと。しまっておかないと…やろ？」
微笑んで見せればAの瞳からは涙が一筋流れる。
優しく拭ってやると、一瞬切なさに満ちた表情をしたAは意識を保てず瞼を落とした。
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味鈴(プロフ) - 色樹さん» 色樹さん ありがとうございます！マイページに頑張らさせていただきます。 (8月12日 14時) (
レス) @page19 id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
色樹 - すごく面白かったです!体調を崩さないよう頑張ってください!!!!!! (8月5日 20時) (レス) @page7 id: 09f29be611 (このIDを非表示/違反報告)
味鈴(プロフ) - にこげさん» にこげさん 誤字報告ありがとうございます！訂正致しました！ (7月6日 20時) (レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
にこげ(プロフ) - 更新お疲れ様です！最新話のよもつへぐいが一部よもつべぐいになってますよ〜！ (7月6日 19時) (レス) id: 4a884aada1 (このIDを非表示/違反報告)
いちごおしちゃん☆(プロフ) - 短編も面白いです！次の更新が楽しみです！体調に気をつけてこれからも頑張って下さい！ (7月5日 20時) (レス) @page22 id: 44c7a03b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味鈴
| 作成日時：2023年6月29日 21時
