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「早く!力を使え!」
黄泉という場所は謂わば、イザナミが牛耳る特殊な領域。
その領域では許可の無い全ての神は能力が低下する。
半分人間であるAは当然、その能力が低下し力を出しきれない。
そもそもAに与えられた天照の能力は神使たちのように攻撃や防御など、戦闘に特化しているものではない。
抵抗したところでこの黄泉の世界では悪あがきにしかならないのだ。
「いい加減っ……!」
「お前やろ。いい加減にするのは」
刹那、男の身体は吹き飛び、テーブルの上の食事は床へ散らばった。
Aを押さえつけていたモノ達もその姿を見て後退りをする。
「お前の目の前にいるのは半神とて神。身の程を弁えろ」
「グルッペンさん…!」
見開かれた瞳の中にグルッペンの横顔が映る。
そのまま胸の中に収めるように片手でAを抱く。
「A。黄泉のものを食わへんかったのは褒めてやるゾ」
グルッペンはそう言いながら胸の中にいるAに微笑み掛ける。
安心からか、瞳に涙を浮かべたAは口をへの字に曲げ涙を堪えていた。
「せやけど、あんなんされたら唾のひとつでも掛けてやったらいい。次からはそうするんだゾ」
グルッペンはAをそのまま横抱きにする。
「もう死んどってよかったな。お前が生者なら、神という立場である俺も…何しとったか分からん」
冷たい視線を向け、グルッペンはそのまま黄泉の出口へと向かった。
安心したAはその腕の中で気絶するように眠りについた。
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味鈴(プロフ) - 色樹さん» 色樹さん ありがとうございます!マイページに頑張らさせていただきます。 (8月12日 14時) (レス) @page19 id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
色樹 - すごく面白かったです!体調を崩さないよう頑張ってください!!!!!! (8月5日 20時) (レス) @page7 id: 09f29be611 (このIDを非表示/違反報告)
味鈴(プロフ) - にこげさん» にこげさん 誤字報告ありがとうございます!訂正致しました! (7月6日 20時) (レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
にこげ(プロフ) - 更新お疲れ様です!最新話のよもつへぐいが一部よもつべぐいになってますよ〜! (7月6日 19時) (レス) id: 4a884aada1 (このIDを非表示/違反報告)
いちごおしちゃん☆(プロフ) - 短編も面白いです!次の更新が楽しみです!体調に気をつけてこれからも頑張って下さい! (7月5日 20時) (レス) @page22 id: 44c7a03b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:味鈴 | 作成日時:2023年6月29日 21時