【後日談】夜桜祭り ページ1
Aが半神(はんしん)になって約３年が経った。
季節は春、『桜の開花がもうすぐだ』とニュースで発表された頃、Aは参道でひとり鳥居をじっと見つめていた。
「何しとるんや？」
ふらりと現れた大先生と視線を合わせることなく、一点を見つめたままのAは顎に手を添えながらうーんと唸っている。
「夜桜祭りとか…どうかな」
「夜桜祭り？」
急になんやと大先生は煙を吐く。
Aはどうやら神社の鳥居を見ている訳ではなく、その向こうにある住宅街や街を見ているようだ。
「参拝客が以前より増えたとはいえ、まだまだ年齢層が高い方々ばかりだし、縁結び神社としてネットで名前が上がってるなら若い子にも来てもらいたいよね」
そこで考えてみたの、とAは続ける。
「この神社、周りに桜が咲いてるでしょ？だから満開になると神社の中が桜吹雪みたいになって綺麗なの。夜からのお祭りにすれば、途中で人がいなくなっちゃうって事もないし」
なるほど、それで夜桜祭りか。
「屋台が〜」とか「舞は必要？」などひとりぶつぶつと呟く。
天照様から返された感情もあってか、半神にも関わらず以前より人間味が増しているというおかしな状態に、大先生は思わず笑ってしまう。
「人を集めるためにやりたい言うんなら止めやせんけど、チラシ作りに人集め、どうするつもりなんや？」
「実はひとつアテがあるの」
話を聞くとアテというのは、近所に住むご老人の事だった。
この神社には参拝客が少ない頃からたまに足を運ぶという人物で、近くの商店街にある復興組合会長だという。
「会長さんが神社に来た時にご挨拶する仲になってね？『神社の復興をしてるんです〜』って話したら商店街ならいつでも協力するぞって言ってくれて」
「つまり人が集まる商店街でビラ配りするってことか？」
そう問えば、自信ありげにニッと笑うA。
「ビラを配りながら練り歩くの。私とみんなが」
「は…？」
そう言いながら本殿へ戻っていくAは、すぐに皆を集めると事の概要を話し始めた。
・・・
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味鈴(プロフ) - 色樹さん» 色樹さん ありがとうございます！マイページに頑張らさせていただきます。 (8月12日 14時) (
レス) @page19 id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
色樹 - すごく面白かったです!体調を崩さないよう頑張ってください!!!!!! (8月5日 20時) (レス) @page7 id: 09f29be611 (このIDを非表示/違反報告)
味鈴(プロフ) - にこげさん» にこげさん 誤字報告ありがとうございます！訂正致しました！ (7月6日 20時) (レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
にこげ(プロフ) - 更新お疲れ様です！最新話のよもつへぐいが一部よもつべぐいになってますよ〜！ (7月6日 19時) (レス) id: 4a884aada1 (このIDを非表示/違反報告)
いちごおしちゃん☆(プロフ) - 短編も面白いです！次の更新が楽しみです！体調に気をつけてこれからも頑張って下さい！ (7月5日 20時) (レス) @page22 id: 44c7a03b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味鈴
| 作成日時：2023年6月29日 21時
