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「あっ…えっ…自分で食べますよ…？」
「ええから、さっさと口開けぇ」
恥ずかしそうに俺を見たあと、意を決したように口を開ける。
冷ました粥を口に運ぶともぐもぐと咀嚼して飲み込んだ。
「いい年して恥ずかしい…」
「俺からしたらAちゃんなんかまだお子ちゃまやで」
そうは言いましてもと照れながら、粥の乗ったスプーンを差し出せば口を開けてくれるA。
胃がびっくりせんように少しずつ口に含む姿は小動物のようで思わず笑ってしまう。
「なんですか」
「いーや。はよ良くなるとええな」
食事を与えていると、突然部屋からにゃあと声がする。
まさかと辺りを見渡すが姿が見えない。
「ありゃ、起きちゃったかな？」
Aはペラっと自分に掛けている布団をめくる。
すると足元から丸まった猫がにゃあと声を上げながら出てきた。
「あ！ニャンコ！」
「包帯巻いた猫ちゃんが入ってきて…人懐っこくて布団の中で眠りだしたのでそのまま…」
ニャンコと目が合うと、まるでフフンと笑うかのように鳴く。
こいつ…絶対分かってやっとるな…
「このニャンコ、大暴れして大変やったんやで」
「はい、さっきコネシマさんに聞きました。『Aの部屋は大丈夫やったか』って気にしてくれたみたいで」
コネシマはああ見えて面倒見がいい。
事態を把握しながらもニャンコと戯れるAにそれ以上の悪態は出てこなかった。
「猫ちゃんもビックリしただけだもんね」
Aが撫でるとゴロゴロと喉を鳴らす。
調子のいい奴めと猫の眉間を人差し指で軽く撫でるとその真ん丸の目が細くなり、なんとも機嫌良さそうににゃあと鳴いた。
「ご馳走様でした。もう大丈夫です。全部食べられなくてすみません」
「気にせんでええよ。水新しいの持ってくるな」
ケホケホと咳き込むAに後ろ髪引かれながら、俺は部屋を後にする。
体調を崩したせいとはいえ、弱っている女を見るのはなんともいたたまれない。
自分が巻き込んでしまったと分かっているから、尚更に。
「…どの面下げて優しくしてんねやろな」
ポツリと呟いた大先生の声は風鈴の音にかき消されるほど小さく、力のない声だった。
・・・
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味鈴(プロフ) - あいすみるくてぃーさん» ありがとうございます！好きに刺さったなら幸いです！気長にやっていきますのでよろしくお願い致します！ (6月5日 7時) (
レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
あいすみるくてぃー - 初コメ失礼します！めちゃめちゃ好きです！続き楽しみです♪ (6月4日 0時) (レス) @page10 id: 371807440b (このIDを非表示/違反報告)
味鈴(プロフ) - 檸檬さん» わー！コメありがとうございます！気長にやっていきます！嬉しいです！ (6月3日 21時) (レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - 初コメ失礼します！応援してます！投稿も頑張ってください！ (6月3日 20時) (レス) @page4 id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味鈴
| 作成日時：2023年6月2日 21時
