第五章 前日譚 ページ21
「ゾムさん、ご飯置いておきますね」
Aがここにきてから２ヶ月ぐらいが過ぎた頃、部屋の前に飯が置かれるようになった。
儀式以来姿を見せていない俺のことを皆に聞き回っていたらしい。
『体調が悪い』という言葉を鵜呑みにしたのかそうじゃないかは分からないが、朝昼晩と必ず食事を持ってくる。
人間の食い物は嫌いじゃない。
酒も人間が生み出したものだが、食事の工夫ができるというのは人間の大きな進化とすら思っている。
昔供えられていた飯も、お菓子も、どれも美味しく、食べることが好きになった。
しかし、別に食べなきゃ死ぬ身体でもない。
Aの飯も、最初は当然無視していた。
酷いことをしようとした俺が、Aの作った飯を食う資格はない。
眠るあいつを…理性の歯止めが効かず食い物にしようとしたんは事実だ。
襖越しに「必要ない」と一度だけ声を掛けたが、それでも諦めず毎日持ってきた。
「食ってやったらどうや？」
部屋に様子を見にきていたコネシマは、その襖に背を預けあぐらをかいている。
「食う資格なんないやろ…」
「あいつは知らんことやし、お前も結局なんもせんかった。それじゃあかんもんかねぇ」
それに…とコネシマは襖を開け、盆に乗った食事を部屋の中に入れた。
「こいつの飯、結構美味いぞ。特に卵焼き。これはアリやな」
彩りの考えられた綺麗な食事。
そして、初めて見た食事の上には手紙が置かれており『早く身体を良くしてお話ししましょうね』と書かれていた。
「これ……」
「ああ、いつも書いて置いてあるよ。いつ食べてくれるか分からへんけど、顔見て話したいからってな」
胸が締め付けられるような感覚。
Aが優しいことぐらい、とっくに分かっていた。
それでも、どうせすぐにいなくなってしまうと心のどこかで思ってしまう自分がいる。
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味鈴(プロフ) - あいすみるくてぃーさん» ありがとうございます！好きに刺さったなら幸いです！気長にやっていきますのでよろしくお願い致します！ (6月5日 7時) (
レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
あいすみるくてぃー - 初コメ失礼します！めちゃめちゃ好きです！続き楽しみです♪ (6月4日 0時) (レス) @page10 id: 371807440b (このIDを非表示/違反報告)
味鈴(プロフ) - 檸檬さん» わー！コメありがとうございます！気長にやっていきます！嬉しいです！ (6月3日 21時) (レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - 初コメ失礼します！応援してます！投稿も頑張ってください！ (6月3日 20時) (レス) @page4 id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味鈴
| 作成日時：2023年6月2日 21時
