・ ページ22
「しばらくはここでの生活が続きそうだね」
「物資もたくさんエミさんが置いてくれとるし、大丈夫やろ」
「なぁんの心配もあらへんで」と笑うシャオロンの言葉は、不安を拭ってくれるようなそんな優しさが滲んでいる。
お湯をマグカップに注ぐとコポコポと心地のいい音が鳴り、それを雑にかき混ぜる。
棚に置いているシャオロン用のマグも取ると、そこに赤燃料を注ぎコトンとテーブルに置いた。
「ひっさびさやわ。液体で飲むの」
「飴と煙草できてからはみんなそればっかりだもんねぇ」
そんなたわいもない会話をしながら一口含んだ瞬間、ドンっと部屋の扉が勢いよく開きAとシャオロンはブッと口から液体を吹き出した。
「Aっ〜！」
「チーノ…！お前いきなりなぁ！」
吹き出した赤燃料と珈琲を拭きながらシャオロンは拳を握る。
そんなことはお構いなしに、椅子に座るAの前に屈み、その膝の上に顔を擦り寄せ泣くようなそぶりを見せるチーノ。
「どうしたの？」
飛び込んできたチーノの頭を撫でながらAは微笑む。
「きっといつものやつだろうな」と考えながらもチーノの言葉を待った。
「また大先生とコネシマがトランプ負けたからって俺が不正した言うんですよぉ？いくら俺が賭場型やからってあんまりやないですかぁ」
「で、したの？」
「してないですよ！単純にあいつらが弱いだけ！」
「「言わせておけばチーノ！」」
バタンッと再び扉を開けたのはそのコネシマと大先生。
シャオロンは再び口に含んだ赤燃料を吹き出す羽目になり、目を尖らせながらテーブルの上を拭いていた。
「煙草賭けとったんや！トントンが作るまでにストックが少ないから10本分！絶対イカサマしたやろ！」
「誰がするか！俺はお前らから巻き上げるほど困ってません〜〜計画的に吸うてますぅ〜」
「こんなん言うとるけど昨日ショッピと煙草吸うとるとき『いや〜煙草燃料楽すぎてストック切らしそうやわ』言うてたん知っとるんやからな！」
朝の5時だというのに騒がしい室内。
そして、煙草を賭けにトランプなんてここは刑務所か？と突っ込みたくなる気持ちを抑えながら膝元にいるチーノの頭を撫で続けるA。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1318人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「wrwrd」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まめ - すごく面白かったです！次回作に期待まってます(*^^*) (4月30日 21時) (
レス) @page35 id: faa4b97585 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - すごく面白かったです！次回作に期待まってます(*^^*) (4月30日 21時) (レス) @page35 id: faa4b97585 (このIDを非表示/違反報告)
味鈴(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます。全て読ませて頂いております。お一人ずつお返事できずに申し訳ありません。次回作も更新致しましたら、どうぞよろしくお願いいたします。作品を見てくださり感謝を申し上げます。 (2月25日 23時) (レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
がきんちょ(プロフ) - 完結おめでとうございます！前作も今作も読ませていただきました！味鈴さんの作品の世界観や設定等とても好きです(*´∇｀*)次回作、楽しみに待ってます！！ (2月19日 15時) (レス) @page35 id: e821c806fa (このIDを非表示/違反報告)
らて - 初コメ失礼します。完結おめでとうございます！このような素晴らしい作品に出会えたこと、完結まで見届けられたことすごく嬉しく思います！設定から世界観、文章表現もとても素敵な作品だと思いました。何度も感情移入してしまいました…！次回作も楽しみにしています！ (2月12日 19時) (レス) id: ec622eb312 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：味鈴
| 作成日時：2023年8月26日 20時
