・ ページ11
「…嘘…嘘だよ…」
Aはショッピの元へフラフラと近づいて行く。
それを見たゾムが歯を食いしばり、自身も一部の制限を解除し敵アンドロイドを思い切り殴り飛ばす。
強く踏み込み、心臓部を素手で貫いた手のひらにはコアが握られており、それをバキッと素手で握り潰した。
制限解除を行ったせいか、ふぅーっと息を吐いたゾムの口からは煙が上がり、浅緑の瞳はチカチカと光っている。
そしてそのまま急いでAの元へ駆け寄ると、その腕を掴んだ。
「A！近付くな！リセットされたらもう…！」
「再起動」
男の言葉と同時に、ショッピの瞳が色を取り戻した。
立ち上がったショッピを震える声で呼ぶA。
「ショッピくん…？」
呼びかけに反応はない。
しかし、起動した男の方だけはじっと見つめていた。
「彼はもう、ショッピという名前ではない。その名では反応しない」
「しかし、その名の方が酷か」と男は名前の登録を始めた。
「WR0202、お前の名は『ショッピ』だ。敵は目の前の女。制御リミッターは全解除。壊れるまで戦ってくれ。次のアンドロイド部隊が来るまで時間を稼ぐんだ」
「WR0202、ショッピで登録を完了」
ショッピの視線がAの方へ戻る。
「あの女を殺せば？」
ショッピはそう言うと小型ナイフをくるりと手の上で回す。
無表情で佇むその姿は、よく笑うようになった彼からかけ離れていた。
「息の根を止めろ。ゆっくりな」
「承知しました」
ナイフを構えたショッピが姿勢を低くする。
Aを庇うように前へ立ったゾムも、制限解除のままサバイバルナイフを構えた。
「歯向かうなら殺しますよ」
「そらええな、殺り合おうや…ショッピ」
誰も踏み入ることの許されない…いや、踏み入れることができないほどの威圧感。
制限のタガが外れかかってるのか、口角を上げ目を見開くゾムと、全ての制限が解除され、紫の瞳が爛々と発光しているショッピ。
ようやく敵アンドロイドを倒したコネシマとロボロも、一部自身の制限を解除したままAの隣にやってくる。
ゾムとショッピの状況を見て察したふたりは、男の方を見る。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1318人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「wrwrd」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まめ - すごく面白かったです！次回作に期待まってます(*^^*) (4月30日 21時) (
レス) @page35 id: faa4b97585 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - すごく面白かったです！次回作に期待まってます(*^^*) (4月30日 21時) (レス) @page35 id: faa4b97585 (このIDを非表示/違反報告)
味鈴(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます。全て読ませて頂いております。お一人ずつお返事できずに申し訳ありません。次回作も更新致しましたら、どうぞよろしくお願いいたします。作品を見てくださり感謝を申し上げます。 (2月25日 23時) (レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
がきんちょ(プロフ) - 完結おめでとうございます！前作も今作も読ませていただきました！味鈴さんの作品の世界観や設定等とても好きです(*´∇｀*)次回作、楽しみに待ってます！！ (2月19日 15時) (レス) @page35 id: e821c806fa (このIDを非表示/違反報告)
らて - 初コメ失礼します。完結おめでとうございます！このような素晴らしい作品に出会えたこと、完結まで見届けられたことすごく嬉しく思います！設定から世界観、文章表現もとても素敵な作品だと思いました。何度も感情移入してしまいました…！次回作も楽しみにしています！ (2月12日 19時) (レス) id: ec622eb312 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：味鈴
| 作成日時：2023年8月26日 20時
