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｢絢瀬さん。繰り返してはだめです。
貴方にとって大切な思い出のはずだ、思い出して｣
真っ直ぐ私を見つめる伊沢さんと目が合った。
強く肩を掴まれて、はっとする。
未だに頭痛は収まらないままだけれど、どこか覚醒したかのようにも感じる脳内で、手繰り寄せようとするのはひとつの記憶。
桃色のなにかがひらひらと舞っている。
これはきっと、桜？
あの日、自分よりも背の低い誰かに、声をかけた。
ひどく慌てているその子に道を案内して、困ったらいつでも頼っていいと言って連絡先を交換した。
約束通り"誰か"の相談にのったのはもちろん、2人で色々なところに遊びに行った。
1年が経った頃、両親が交通事故で亡くなって、一人っ子だった私は地元に帰らなくてはならなくなった。
金銭的な余裕がなかったので、誰にも言わずに大学もやめてしまった。
友達ももちろん恋しかったけれど、1番失うのが辛かったのは、彼だ。
ああ、どうして忘れていたんだろう。
彼が時々悲しそうに笑った理由も、今なら手にとるように分かった。
会えなくなってもなお、胸が締め付けられるほど愛しかった彼を、私は、どうして。
｢こうちゃん、私の初恋の相手は、こうちゃんだ…｣
気づけば私は泣いていて、あれほどしつこかった頭痛はすっかり治まっていた。
あの日私が出会った"こうちゃんさん"は、大好きだった後輩、"こうちゃん"だった。
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夜子(プロフ) - わらべさん» わらべ様、初めまして。お読み頂きありがとうございます^^ そう言って頂けると更新のしがいがあります、嬉しいです。ぜひこれからも宜しくお願い致します。 (2021年4月20日 19時) (
レス) id: a4f711fe65 (このIDを非表示/違反報告)
わらべ(プロフ) - 初めまして。作品楽しく読ませていただきました！丁寧に練られたウイルスの設定が本当に面白くて…！これから先どうなるのか楽しみに待っております。 (2021年4月18日 22時) (レス) id: 34cdc8231e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜子 | 作成日時：2021年4月17日 14時
