46.寝顔 ページ46
クロウが寮に着くと、日付が変わっており朝日が昇っていた―
ﾍﾟﾗｯ
シャワーを浴びて髪を乾かし、制服に着替え
談話室に行き、ソファで予習を始めるクロウ
もう3時間もしないうちに朝食の時間が来てしまうからだ
『フィデス！』
少し経つとフィデスが談話室に現れた
所々傷口が見受けられるが全て軽傷である
ｽｩｩ
『彼はもう落ち着いたのね、良かった…』
ありがとう、フィデスと頭を撫で、傷を癒していく
『お疲れ様』
そう言い、横に伏せるフィデスを撫でるクロウ―
ｻﾞｯ
「クロウ…？」
少し早く目が覚めたドラコが準備を済ませ、談話室に来ると
クロウがソファに座っているのを見つける
皆が談話室にくるにはまだ早い時間帯の筈なのだ
「(いつ戻って来たんだ？)」
昨日は就寝時間まで談話室にいたが
戻って来なかった、とドラコはクロウの近くへと行く
「(寝落ちしたのか…)」
机の上に広げられた今日の授業内容の教科書達、
そして、制服も着崩れする事なく着られているのを見て
ドラコはそう考える
ﾎﾟﾝｯ
「いつもクロウを近くで護ってて偉いな」
ソファから降り、ドラコに近寄って来るフィデスを撫で
クロウの隣に座るドラコ
ｽﾄﾝｯ
「(睫毛長いな…それに肌も雪みたいに白い)」
隣に座っても起きないとか無防備だな、と
クロウの顔に魅入ってしまうドラコ
『ｯ…』
クロウが少し顔を動かした影響で
髪がｻﾗｯと横に流れ、顔にかかり、耳が露わになる
ｼｬﾗｯ
「(‼︎僕があげたピアス…)」
付けてくれているのか、と嬉しくなるドラコ
ｽｯ
「(なぁ、クロウ…僕は自惚れても良いのか？)」
顔にかかった髪を横に流してあげるドラコ
ドラコはクロウがあの髪飾りを
毎日付けている事にちゃんと気付いていたのだ
ﾁﾗｯ
時計にふと目を向けると、もうすぐ皆が談話室に来る時間だ―
「クロウ、起きないのか？」
他の奴らに寝顔を見せてたまるか、と言う思いを隠しつつ
少し肩を揺らし、声を掛ける
『んｯ…ドラコ…？』
私寝ちゃってた？とまだ寝惚けている様子のクロウ
「寝てたみたいだな」
寝顔に魅入ってたなんて言えなくて、ﾌｯと笑い掛けるドラコ
『そっか…おはよう、ドラコ』
そう言いクロウはふにゃと柔らかく笑う
「ｯ…あぁ、おはよう」
ドラコはその笑顔に思わず顔を背けて返す
彼の耳は赤くなっている―
ﾊﾟﾀﾝｯ
『(変な顔してなかったかな…大丈夫かな…)』
一方、クロウも恥ずかしそうに教科書を纏めていた―
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作者名：戯言。 | 作成日時：2021年12月20日 21時
